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ただ、株価のトレンドを長期的にみると、今回の景気後退の兆しは2015年の初めから明瞭であったことがわかる。
アメリカのダウ平均をみると、以下のようだ。
リーマン危機後の底である2009年春から2015年初まで拡大期間が6年に達しようとしていたのが15年1月である。以後、2015年を通してニューヨーク市場の株価は踊り場に入り、ずっと横ばいを続けてきている。2回あった急落は中国の上海市場で15年夏場、それから16年の初めに起こったクラッシュの影響である。それでもダウ平均は高水準を維持している。
これをロンドン市場でみても、大体は同じだ。
15年夏場から下降基調を辿っているが、これは上記した上海市場とシンクロナイズしている。この動きはドイツ市場をみても同様だ。
その上海市場だが、下図のような経路をたどっている。
上海市場の15年夏以降の急落は明らかにバブル崩壊である。15年夏に1回、16年年明けに1回、クラッシュを引き起こしている。
ロンドン市場はここに来てやや底打ちの気配を示しているのだが、上海市場のバブル崩壊がいつ一段落するかまだ予断は許さない。カギは中国の実体経済ということだ。
東京市場は下のように変化している。
2015年に入ってからも上昇を続けていた点が欧米とは異なる。その分、上海ショックをまともに受けて、下落の衝撃も強いというのが日本の特徴と言える。
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実体経済のみに目を向けると、通常、景気後退期の平均的長さは1年半程度というのが経験則である ー リーマンショック時も実は景気の実態は2007年末から後退しており、ボトムであった2009年春まで概ね1年半程度の不況であった。
今回、アメリカ経済を見ると明らかに2015年に入ってから頭打ち状態になっている。ロンドン市場をみてもそうだ。2015年初めから実体経済は踊り場入りしていたとすれば、今年の夏場で1年半が経過することになる。
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内閣府から先日公表された景気動向指数を使ってARIMA予測をしてみた。
すると、以下のような予測経路が得られた。
まず先行指数だが足元ではなお低下をするが、間もなく下降局面は終わるというイメージだ。
数字を具体的にみると、先行指数は3月の98.4から4月以降も低下を続け、7月の97.46がボトムになる。8月以降は鍋底をはうような状況になる見込みだ。
他方、生産・販売につながる一致指数は以下のようなイメージである。
こちらは夏場を超えて低下トレンドが続く予測になっている。但し、今年10月からあとの予測対象期間の後半は誤差も大きいので何とも言えないというのが正直なところだ。
いずれにしても先行指数については今夏で底打ちという気配があるという計算結果なのだが、これはニューヨーク株式市場の動きから概観できる大局観と一致している。
さて、
7月の景気動向指数が公表されるのは9月上旬である。理想的にいえば、よい数字が公表されて雰囲気が明るくなる。というより、統計数字がなくともこの夏のボーナス時期になると、経済の現場では底打ち近しという空気が出てくるのではないか。
いまの印象はこんなところだ。となると、全般に株価は足元でもう少し下押しする。買うなら今は適当でない。こう判断しているところだ。
資源価格は循環的と言うより、構造的なものが絡んでいるので、景気の先を読むよりはずっと難しい。たとえばいま英国の資源大手"RIO TINTO"に投資すれば、配当利回りは7.26%に達するのであるが、だから”GO"というわけにもいかない。
(注)
上の12か月予測計算の前提として、(もちろん)以下の要因は考慮していない。
- 6月23日: 英国でEU離脱の可否を国民投票
- 7月10日: 日本の参院選投票
- 11月8日: 一般有権者による米大統領選投票
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