政治の世界の一寸先は闇だと思ったが、安倍首相による唐突な解散宣言。その次の、民進党の事実上の解党と小池百合子氏が立ち上げた「希望の党」との合流方針―確かにまだ方針の段階ではあろう、代表の独走に終わる可能性もある以上は。いや、やっぱり出てくるものは出てくるネエ。そんな状況になってきた。
またか・・・というデジャブ感がつのる展開ではあるが、なるほど一寸先は闇であったには違いない。首相が奇襲を選ぶと、周囲の敵もまた夜襲で応じた、と。こんな感覚かな?
ただ、希望の党の代表になる方向の小池百合子氏は国会議員でない。なので、憲法の規定から首班指名の対象外となる。政権をねらうなら都知事を辞めて国会議員に戻らないといけない。戻ると決意すれば、都知事時代の実績を問われるのは確実だろう。そうなると、確かに話題は提供したが、『ちゃぶ台返しをしたまま後始末を付けていない』と批判される可能性が高い。特に地盤の東京都内で批判されるだろう。どうするのだろうか・・・?
それから希望の党は「消費税率引き上げ凍結」を公約に掲げるらしい。
保守的な「小さな政府」を志向するなら選択するであろう方向だが、そうなると前原氏、というか民進党の年来の主張である教育無償化は実行不能になるのではないか。
原発ゼロは良い方向かもしれないが、地球温暖化を考えれば再エネに舵を切るということだろう。となると、炭素税など環境課税を強化すると言わなければ電力料金が上がりすぎて、理屈が通るまい。まして電気自動車(EV)の普及など、電力需要は増加が見込まれている。電力料金は国家戦略レベルのキーポイントだ。しかし、このようなイシューを小池氏は今まで問題提起しては来なかったように思う。自分自身の<宿願>とは思っていないのではないか。
具体的に検討していくと、<どこの馬の骨じゃい>と言われかねない印象だが、しかしいかにも<劇場型>にふさわしい脚本である。エンターテインメント性を求めるマスコミは支持するだろうし、浮動層もそれに煽られて支持する可能性は高い。安倍内閣に辟易としている保守支持層は本当は多いはずだ。現在の強気一辺倒の北朝鮮外交にも疑問や批判、不安を感じている人も多かろう。
政治家として、それらしい実績を残してきたとは言えない小池氏ではあるが、あまりに乗り心地が悪く、代わりの船を探していた人たちには格好の選択肢になることは間違いない。投票日が迫っており、乗り換える船の行き先を確認するなど、考える時間があまりないのも幸いしている。
与党は党首による政策討論TV中継を提案してくるのではないだろうか。
お互い、楽な戦にならないのは間違いなくなってきたが、これだけは言えそうだ。小池氏が国会議員に打って出ない限り、風はこれ以上は強くならないだろうし、打って出るなら在職1年で中途で都政を放棄するという批判を免れない。気になるのは、劇場型政治の大家であった小泉純一郎氏は、郵政改革を長年主張した"Single-Issue Politician"であり、この一点に命をかけてもいいというフレーズが似合っている一面があったが、小池氏にはこれという宿願がないように見受けられることだ。
リスクの高さは小泉氏の郵政解散をはるかに上回っているというべきだろう。そのリスクは、選挙における勝敗のリスクを指すものであると同時に、仮に勝利して政権についた後の政権運営にまつわるリスクでもある。
今日の結論:
格言としては『信なくば立たず』というのは今だに有効だと思う。プロモーションはもちろん大事だ。しかし、トレンディーなイメージ戦略が、軍事リスクが現実に存在する今の日本の情勢の中で、それだけで単独に政権に近づくほどの大勝利をもたらすものだろうか?小生は疑問なしとしない。それから有権者との約束を1回でも破った政治家はそれが終生の傷となり大成はしないのではないか?政治は水物だが、一応、これを今後の予測としておく。
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