2017年9月29日金曜日

「政権選択選挙」よりこう言うのがよい

マスメディア各社は面白いものだから<これで政権選択選挙>になったと力説している(もはや解説ではなく、まして報道ではない)。

見ようによっては確かにそうだが、それよりは今度の選挙は<イメージ*ムード vs ファンダメンタルズ>のどちらがより確実な勝因でありうるのか。こうとらえる方が正確だと思って見ている。

民主党政権の失敗は東日本大震災・福島第一原発事故への対応が拙劣であったことが主因とされているが、副因として株価低迷、雇用悪化、デフレ深化という経済的ファンダメンタルズが足を引っ張っていたことは無視できない。尖閣諸島国有化にともなう日中関係の極端な悪化も大きなマイナスだった。衆議院議員選挙の投票は日本の政治に直結する。包装紙ではなくコンテンツ、ムードよりはファンダメンタルズが重要であるのは当たり前だと。これが常識だった。

現政権のファンダメンタルズは経済面では必ずしも悪くない。格差拡大は確かに改善されていないが、底上げはされているのは事実だ。株価は上がり、足元の景気をみると今後もっと上がっていくだろう。いわゆる「アベノミクス」の評価はまだ微妙だが、民主党政権時代の経済状況を思い出させるだけでも有効な反撃となるのは事実だ。希望の党から立候補する新人の力量はまったく不明。

こう考えると、突然参入した希望の党と化粧直しの後の民進党には勝機はないと考えるのが常識に合う。また合理的でもある。が、マスメディアを味方につけたイメージ先行・ムード醸成戦略は時に見事に奏功する。日本新党ブームもそうであった。が、日本新党ブームの時は、ブーム以前に消費税導入、リクルート事件、バブル崩壊の三連発があって反自民党ムードが蔓延していたという決定的背景がある。そこに日本新党は乗じることが出来た。無手勝流ではない。やはりファンダメンタルズの説明力が高いのだ、な。

森友や加計学園の問題。どうみるか?しかし、あれが経済社会のファンダメンタルだとは到底思われぬ。むしろ「不祥事」であろう ー そうは思わない人たちは不祥事ではなく、「汚職」だと思っているのかもしれないが。

そういう意味では、現在の日本社会におけるテレビ、新聞といった伝統的マスメディアの影響力、つまりはムード形成力、ブーム創出力を評価できるという点からも、今度の選挙は面白くなった。「面白くなった」ことだけは事実である、な。

それにしてもツイッターやフェースブックを駆使した選挙運動の名手が日本にも登場しないのでござんしょうかネエ・・・。これからはネットが主戦場になるってもんだと、そう思われて仕方ないんですがネエ。

ま、マスコミ大手は規制産業であり、電波市場の寡占が認められたり、あるいは価格競争の埒外に守られたりして、今なお政府の保護下にある。平時ならお目こぼしされるような偏向報道も選挙期間中は厳しくモニターされましょう。摘発など荒事にはしないでしょうが、第三者が問題視する発言をして、選挙後に何かの政策対応につながっていくかもしれません。この辺も「面白い」見どころかもしれない。

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