デビッド・キャメロン首相の様子に注目してください。(URL) http://www.huffingtonpost.jp/takao-hirose/story_b_5517266.html
この動画からもわかるとおり、党首には、轟々たる野次を制し、議場を自分のコントロール下に置くスキルが要求されるのです。
イギリスの政治家の多くはパブリックスクールやオックスフォード大学などで学びます。それらのエリート校の特色として、子供の頃からディベートをさんざん行い、学友をdisり合いながらパブリック・スピーチの呼吸を覚えてゆくわけです。
1943年に庶民院本会議場を円形にしては? という議論が出た際、ウインストン・チャーチルは「そうすると議論が不活発になってしまう」と警鐘を発しました。
実際、イギリスでもモダンな、教室形式の部屋で行われる公聴会への出席者は少ないです。
同様に、円形議場の形態を取る米議会も議員の出席率は悪いです。
さらに欧州議会の寂しさは、目を覆わんばかりです。
由緒ある保守週刊誌『ザ・スペクテーター』のアシスタント・エディター、イザベル・ハードマンは「野次は議会における討議を活発にし、提起された問題に対し、与野党双方が深く考え、ベストの回答を模索するきっかけを与える。だから野次は民主主義のプロセスとして欠かせない」と主張しています。
イギリスの議会は与野党が向き合うように座席が配置されている。それに対して、日本(やフランス、アメリカ等々も) は劇場型配置である。上の引用記事では、劇場型議席配置にすると議論が不活発になるというチャーチルの懸念が述べられているが、日本の国会のヤジはそれなりに活発なようだ。
先日は沖縄の米軍で続発している事故について共産党の志位委員長が代表質問しているときに与党席にいた松本文明内閣府副大臣が『それで何人死んだんだ?』というヤジを飛ばした。それが(たまたま)テレビ電波を通して全国に放映され物議をかもす結果となった。結果、「不適切なヤジ」の責任をとって辞任するという顛末となったのだ。
ふ〜む、なるほどねえ、しかし・・・と思った次第。
駐留米軍に事故が続発している背景には何かがあるだろうと思われるし、事情を確認することは必要だろう。事故が続いているのが自衛隊であっても本質的な事情は同じだ。米軍の場合、外国の軍隊の横暴、怠惰、無神経を非難する気持ちも混じるだろう。しかし、アメリカは日本と安全保障条約(≒軍事同盟)を結んでいる同盟国である。代表質問をしているのは、自衛隊違憲論をとっている共産党である。日米安保廃止を是としている政党の代表者である。その最強野党の代表が米軍の活動を非難しているとき
How many dead ?与党の議員がこの程度のヤジを飛ばすのは十分ありうるのではないだろうか。そんな気がする。
沖縄の人たちに内地の日本人として何か心中忸怩たるものがあり、何かと言えば遠慮らしく思う、申し訳なく思う、「いつもすいませんネエ、申し訳ないといつも思っているんですヨ」と、そんなやるせない心情があるなら、その心情こそ先ずは最初にとりあげて沖縄に寄り添い、現状の不公平を解消するべく内地として実効性のある努力をするべきだろう。そんな行動も起こさず、あのヤジはひどいと批判するのは、内地に住む日本人の偽善であると感じるのだ。
小生は国会でこの程度のヤジは飛ばしあってよいと思う。
というより、松本副大臣によるこのヤジは与党議員としては飛ばすべきであった。そう思うのだ、な。マスメディアがこれを非難するのは健全なヤジに対する過剰攻撃であると思う。前稿でも話したアレルギー症状と本質は同じだとみる。
もちろん普通の企業の社内会議ではヤジは飛ばさない。役所でも飛ばさない。それは上下の職階、上下の規律があるからだ。通常、日本の組織内では上下の関係が支配する。そして業務は細分化され各担当者に分担されている。いわゆる「殿中」なのである。だから、ヤジは飛ばさない、というか飛ばせない。
しかし国会議員を上下でみてはならない。議員全て対等である。誰が誰の部下であるわけではない。怪しからんと思えば、茶かすなり、皮肉を言ったり、異論を叫んだり、やってもいいと思う。それが冒頭に引用した英・元首相チャーチルの意見ではないだろうか ー ちなみにいうと、大学という場は上下の意識が希薄である。なので教授会では結構ヤジが飛んだりする(正式の会議からは隠居しているので最近の状況は知らないが)。
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