2025年4月18日金曜日

ホンノ一言: 食料品価格の高騰は必ず政変(ときに革命まで)を招くものだ

(不作をきっかけにした)食料品価格の高騰は、古くはフランス革命の直接的原因でもあり、新しくは1918年(大正7年)に米価高騰に抗議する米騒動が日本全国に拡大して、国民の側で普通選挙への願望が高まる一方、統治機構側では民意への警戒感が強まるなど、その後日本社会が不安定化していく歴史への一里塚になった。

ことほどさように食料品価格は一国の政治情況を一変させてしまう程の衝撃エネルギーを持つ。

これが臨界点まで行くと、何人かの政治家の努力で社会を安定させるのは不可能になるということを歴史は教えてくれている。


ネットにはこんな記事がある:

 財務省が4月15日、財務相の諮問機関に対し、政府が輸入する「ミニマムアクセス米」を活用してコメの価格を引き下げる案を発表すると、早くも農業関係者からは反対の声が上がっている。

 一方、「輸入米の関税をゼロにして、安いコメをスーパーで売ってほしい」と訴える国民も少なくない。税金と社会保障費の負担に苦しむ国民の切実な声だと言えるが、その悲鳴に農水省が耳を傾けることは今のところないようだ。

Source:Yahoo! JAPANニュース

Date:2025年4月18日

Original:Daily新調

URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/fe3933263a9773265d9960442625c5f8887eab3d?page=4


この中で「その悲鳴に農水省が耳を傾けることは今のところないようだ」とあるのは、全くの誤りだ。

高いコメ価格は誰よりも、農家、農協(=JA)が望んでいる。農家が望んでいるのであれば、その希望に応じるのが、自民党がとる定石だ。今夏の参院選に負けないためには必要不可欠ともいえる。

アメリカのトランプ政権は日本の農産物関税を下げろと言うはずだ。もしそれを飲めば、確かに日本国内のコメ価格は下がるに違いない。何しろ、日本は韓国と比べても2倍以上高いコメを買わされている。アメリカと比べると日本のコメ価格は5倍になる ― 実際、<アメリカ 米価>をキーワードにGoole検索してみたまえ。この位の情報は、日本人なら容易にアクセス出来ているはずだ。

しかし、自民党は米価を下げて地方の票を失いたくはない(はずだ)。政治的にこれほど重要なイシューを農水省の官僚が意のままに決められるはずがない。

つまり米価は、夏の参院選に向けての《政治マター》になっているとみて(まず)間違いない。


ということは、米価高騰は既存の農家を守る与党が政治的にもたらした結果であると政権を攻撃する機会が野党にはあるという事だ。

そして、もし米価がこのまま高値にとどまるなら、石破政権は参院選でほぼ確実に負ける。そもそも農業関係者は全有権者の中でマイナーなのだ。岩盤とはいえ、サイズが小さい。

但し、農家票は捨てて、大都市中心の消費者票をとるという覚悟が野党には必要だ。実際、野党はそうするかもしれない。

(再び)ということは、初夏を目途にコメ価格を下げて、メジャーな消費者票を取りに行こうという思惑が、政権側にはある(はずだ)。

(三度目の)ということは、自民党は国民の生活を犠牲にしてコメ価格を政争の具としてもてあそんでいる、と。野党にはやはり政権攻撃の好機がある。

どうやら、コメが上がり始めた昨年の初秋、というより真夏に気象庁が不用意に出した南海トラフ地震発生の注意喚起のドタバタ以降、その波及効果が今年になってからも続き、ついには《熱い政治の季節》を招き寄せるという結末になってしまったようだ・・・

げにや恐ろしきは、故意ではなく、何気なく口にする過失の一言。パワハラもセクハラもそうであります。善意であれば、なおさら始末が悪い。

やはり食料品価格は、時の政権にとっては最大の勘所であり、鬼門なのである。


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