2025年7月25日金曜日

ホンノ一言: 給付か減税か? 政党が多すぎるなら選択と集中で合理的に議論すればよい

 いわゆる《議論の集約》、《選択と集中》について何も知らないのだナ、というのが露わになっている記事はネットにも溢れかえっている。

本日はその典型的な事例を見つけたので覚え書きにしておきたい。

先日の参院選では「財政ばら撒き」の方式として「給付」か「消費税減税」の二つ、あるいは両方が各党から提案されていた。

これ自体が発想の貧困を如実に伝えるものだと(個人的には)思っているのだが、それはさておいて、与党が大敗、野党はまとまらずという情勢で、結果としては給付も減税もなしになるのではないかと、巷では落胆する向きが多いそうである。

例えば、次のように各党の公約(?)を整理しているところがあった

 ▼給付

 自民・公明:1人2万円・4万円(子ども・住民税非課税世帯には4万円)


 ▼給付&減税

 立憲:2万円・食料品0%(原則1年間)

 れいわ:10万円・消費税廃止


 ▼消費税減税

 維新:食料品0%(2年間)

 国民:一律5%(時限的)

 共産:一律5%(廃止目指す)

 保守:食料品0%

 社民:食料品0%

 参政:段階的に廃止

いま社内の検討会をしているところで、机上の資料には上のような内容が書かれていたとすると、叱責とまではいかないだろうが、出席者から失笑、嘲笑が漏れ聞こえてくるのは、確実だ(と想像する)。

「古典」とは旧くなることがない文化遺産である。その中に、QE(≒品質管理)の為の大原則があって、これ即ち《重点志向の原理》だ。端的には《選択と集中》という表現になる。この原理を徹底するための「QE七つ道具」は、ビジネスマンなら当然の常識だと(個人的には)思っているのだが、その最初のステップが《パレート図》になる。

パレート図とは、縦軸に頻度。横軸には頻度順に並べ替えられた各項目。そして、項目ごとに頻度を棒グラフで表し、重ねて累積頻度を右上がりの折れ線グラフで示したグラフ。これがパレート図である。

上には、九つの公約がある。しかし、各政党の議員数は大小マチマチである。これを

議員数 = 頻度

と読み替えて、パレート図にすればよい。

パレート図を利用した重点志向とは、累積頻度が80%(ないし項目数が少なければ90%)を超えるところに努力対象を限定し、残りの項目はカットする。先ずは上位80%の問題を解決するために100%の努力を集中する。80%を解決してから再度状況を整理し、状況が同じなら残り20%の問題に100%の努力を傾ける。こんな問題解決思想を指していて、極めて現場志向で、実践的に手順化されている。いわば「勝利の方程式」であります。

問題解決だけではなく、論点を整理する時などにも、役立つ。

このパレート図の考え方をとれば、最も多数を占めているのは、自民・公明の「給付」である。政党別議席数累積割合をみると、自民・公明を与党として一つに括ると、第4位の「維新の会」で8割を超える    ―    但し、今回は先日選挙のあった参議院の議席数をベースにしている(議席数はChatGPTで調べた結果を使ったが個人情報が含まれる可能性があるということなので共有リンクを貼り付けるのは控える)。

なので、比較検討は

  1. 自民・公明:1人2万円・4万円(子ども・住民税非課税世帯には4万円)
  2. 立憲民主党:2万円・食料品0%(原則1年間)
  3. 国民民主党:一律5%(時限的)
  4. 維新の会:食料品0%(2年間)

この4提案を重点的に検討、議論するのが、合理的だ。

さらに言えば、上位2政党の双方とも給付2万円を提案している点で共通している。そして、上位2政党で割合が66%を超えている。概ね3分の2である。全体の3分の2が賛成する提案は「多数」と解釈しても可とするのが、合理性ある民主主義社会の運営だと(個人的には)思っている。

それでも、マア、ほとんど意味のない「ばら撒き」であるには違いないが……

国会全体の意志について見通しをつけるなら、参議院だけではなく衆参合計の議席数でパレート図を作ると良いだろう。

民主主義社会で「ある案」に全員が賛成するという状況はほぼゝ絶対にないと確信しているのだ、な。

世間で議論するのは大事な事だが、

下手な考え、休むに似たり

という格言もある。「小田原評定」という警句もある。

これは認めても良いという結論を速やかにまとめることの重要性は、組織においても、社会においても、同じだと思うのだが、いかに?

「合理性」というのはこんな時に顕在化してくるその国の徳性だと思う。

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