2016年6月30日木曜日

政治的バブル? BREXITで何が残る?

記念すべき2016年6月23日の英国・国民投票で「離脱派」が勝利したが、結局何が最後に残るのか?

株価は世界的に大暴落した。特に、香港上海銀行(HSBC)やバークレイズなどの金融関連はそうだ。

あれからまだ一週間も経っていない。

しかし、ロンドン市場やNY市場で英国株は投票前の水準をほぼ取り戻しつつある。

流石に金融株は元に戻っているとは言えないが、もともと、英国の金融関連株は国民投票の結果というより、中国経済への不安から先行きに自信が持てないという一面のほうが強かった。

日本株も、今回もまた下げるに急で回復にはモタモタと遅れている感じがするが、近日内に英国の国民投票などはいつのことだったかと、そんな状態に戻るであろう。

国民投票自体は、やはり純粋に政治的なイベントであったと見える。というより、一体、何をどう変えたいのだろう、イギリス人は……、そう問いかけると、政治でさえもなく、イギリス社会に爆発的に流行した熱狂(ユーフォリア)。これまた、『根拠なき熱狂』の一例であったかもしれんネ、そう思っている。何しろ、イギリスと言えば18世紀初め、資本主義がまだ根付いてもいない昔、「南海泡沫事件」という一大バブルに踊った国である。

大雑把に割り切れば、非常にイギリス・ローカル。だから、先日の投稿でも『政治家による失火事件』にたとえたのだ、な。

ずいぶんハタ迷惑なレファレンダムであったが、結局、何が残ったのだろう?

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英国とEUがどんな関係を取り結んで落着するかによるのだろう。双方が合意するまでは、長年月がかかるに違いない。

肝心の離脱派の主要人物さえ『すぐに離脱をする必要はない』と語っている。英国は国民投票を対欧州交渉力を強化するための脅迫に使ってきたが、結論は「離脱」と出た。

「離脱」の結論を出しておきながら、残留状態を続けつつ欧州と交渉を続けようとしても、それは筋が通らないというのは、確かにドイツの言い分に理屈が通っている。交渉をするなら「離脱交渉あるのみ」というのが、ロジカルな結論だ。

英国は出してはならない結論を性急に出したため、最大の交渉手段を失った。

経済の実態は変わらないが、戦術ミスを犯した分、英国は何をしようとどこかで損失をこうむる。

英国が損した分、(ロシアを含めた)大陸欧州のどこかの国が得をする。そう見るのが正しい目線だろう。

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ずっと先のことは……、それは誰にも予言はできないだろう。

「予測」は常に外れる。「予言」はなおさらだ。無数の予言のどれかが結果的に的中する、それも当たり前だ。が、いまそう言っても、何にもならない。

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今回の国民投票。これは政治的バブルと言ったが、バブルといえば冷静な国民性にみえるオランダのほうが熱狂にかけては先輩だ。最初(?)のバブルとして有名な「チューリップバブル」が起こったのは、17世紀初頭、日本で言うと寛永時代でちょうど参勤交代が慣例化されようかという時代にあたる。

ということは、オランダでも「EU離脱」の政治的熱狂が起こりうるということか・・・。

一つ言えることは、「バブル」というのは時代の境目に発生しがちであるという経験則だ。大きな変化が世界を待ち受けているのだろう。

今回の場合、まあ、ネガティブバブルであったのが特徴ではあったが・・・。「爆発」ではなく、「爆縮」であったわけだな。

2016年6月27日月曜日

党首というのは発言を縛られるのだろうなあ・・・

英国のEU離脱をきっかけに先週金曜の株式市場は世界的に暴落した。ところが、概観してみると当の英国の下落率は日本よりも小さく、アメリカのNY市場はもっと落ち着いた低下振りを示した。

そんな展開をうけて、週明けの今日月曜日現在、東京市場は234円高になっている。

このまま週内に元の水準に復帰するとまでは行かないと思うが、そもそもが株価が暴落する経済状況ではないという事実はそこにあるわけで、市場も現実を反映したものになる。これは間違いない。

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イギリスの話題で舛添前都知事の話題は吹っ飛んでしまった感がある。

参議院選挙も盛り上がらないねえ。別に、政府のせいで株価が落ちているわけではない事くらいは国民はご存知だ。むしろ『頑張って、海外とも連携しながら、うまく対応してくれ』と、庶民の気持ちはその辺りだろう。

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ところが、民進党党首の岡田代表はUKのEU離脱を踏まえて『アベノミクスは終わった』、『年金の評価損をどうするのか』と。政府批判を強めている。

大体、昨年8月の株価暴落は中国経済不安。今年初めの暴落も中国経済不安が原因で、さらにいえば世界景気の循環的要素も加わっている。日本政府の政策に原因があって世界の株価が下がってきたわけではない。国際商品市況は、ちょうどその頃には回復してきていた。

いくら世界の中の日本をみないといけないと言っても、ここでまた更に、イギリスの国民投票が想定外であったことで起きている株価暴落をとりあげて、だからアベノミクス ー 特に日銀の超・量的緩和政策を指すのだろうが、それは間違いであったと。これはチャンとした経済学的ロジックになっているのかいな、と。本質的には、いまの金融政策方針に賛同しない専門家も、年金積立金を株式市場で運用するべきではないと考えている専門家も、「イギリスがEUを離脱した以上、アベノミクスは終わったんだ」、そう言う人はいないのじゃあないか。

これではまるで『株がまた下がっちまったよ、(元横綱の)朝青龍は引退しないといけねえな』、むかしそんなことを言っていた某先輩がいたが、それと同じだ。

恥ずかしいですヨ。そう思いますな。

経済ブレーンは民進党にはいないのだろうか。

岡田代表は元々は経済産業省で日本経済の実相をモニターしていたはずである。自由に演説するなら、もっと真っ当で示唆に飛んだ政策的アイデアを語れる人物だと思うのだが、やはり党として言うべき事はこういうことです、と。そんな風に発言内容を縛られているのだろうか・・・。

半ば同情的な気持ちでみているところである。

2016年6月25日土曜日

一昔前には「経済安定化政策」というのがあったものだが・・・

英国のEU離脱は、それ自体としては純粋に政治的な決断である。決して経済政策ではない。実際、国民投票で離脱派が勝利して、株式市場は暴落し、G7は金融不安懸念を払拭するため共同声明を発表するに至っている。

今回の英国の政治的決定が世界経済を混乱させている。こんな「経済政策」があるはずがない。

経済的な不安定は国民の厚生を損なう第一の要因であるから、政府は、必要なら他国とも協力して、まず国内経済の安定化に努力しなければならないというのが、戦後ずっと一般的な理念になってきた。ところが、英企業の行方には不透明感が漂っているのが現実だ。ということは、英国民の生活にも不透明感は増しているというべきだろう。

そういう意味では今回の英国の選択は、<チャブ台返し>であった。憤慨する人は世界に多いだろう。


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政治的なショックで株価が暴落したといえば、1953年3月の「スターリンショック」があげられる。突然の死去の報に接して、東京市場は前日比で10パーセントの急落となった。この急落率は、1987年10月に発生したNY市場の「ブラックマンデー」に破られるまでは戦後第一の株価崩壊として記憶されていた。「ブラックマンデー」の当日(10月19日)、アメリカのダウ平均は前日比で22.6パーセントの大暴落を示し、それを受け東京市場では日経平均が14.9パーセントの下落となった。スターリンショックを上回る新記録となったのだ。

ブラックマンデーは、1985年のプラザ合意以降に進行していた急速な円高・ドル安を進路変更するため、FRB当局が金利引き上げを画策していたことから突発的に発生したと云われている。その意味では、金融政策のほころびであったわけだ。

スターリンショックも、まったく経済動向と無関係であったのではなく、スターリンの死去にともなって3年間続いた朝鮮戦争も終結する、そうなると日本経済復興を支えてきた「特需」も終わるのではないか。そんな連想から売りが売りを呼び、株価が暴落したのであった。

純粋に政治的なイベントで株価が暴落することはない。

今回のUKショックは、金融センターとしてのロンドンの地位、英国とEUとの今後の関係、EUという巨大な単一市場の行方に対する不安が経済的不安定を引き起こしているのだが、もっと本質的な背景には欧州各国に流入している大量の移民をコントロールできていないことへの不安、反統合派がこのまま力をつけ最終的にヨーロッパは四分五烈するのではないか。こういう不安は、やはり生活への不安であり、大きな経済問題であると考えれば、EU離脱の先兵となった英国が欧州経済を揺るがせ、「揺らぐ欧州」が世界経済を揺るがす構図になっている。ギリシア問題、欧州債務問題とある意味では同根であり、このあたりが最大公約数的な見方だろう。

根本的には、移民政策、債務問題、対ロシア問題、対中東政策等々、すべての問題の背景には経済問題があるとみれば、マルクス的な視点と同じになってしまうが、今回の株価暴落の本筋はついているだろう。


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ただ実際に英国がEUを離脱するのはかなり遠い先になりそうで、ある人は『はやくて二年、おそらく七年』と話している。

当面は、ポンド急落もそうだが、投機家の不安、そして金融不安であろう。

アメリカのYahoo! Financeでもこんな解説をしている。
The first thing most economists are flagging right now is tighter financial conditions. Simply put, tighter financial conditions means that it is harder and more expensive for businesses and consumers to get money. That in turn leads to less borrowing, less investing, and ultimately less economic activity.
And these tighter financial conditions are appearing in the US.
金融要因による不安定は、多分に一過性であり、中央銀行が判断ミスをおかさなければ永続性をもたないということは多くの研究から確認されている。

今回の株価暴落は、リーマン危機当時のような金融システムに内在する要因で発生したものではない。

まあ、このまま何もなければ、2,3か月のうちには株価は元に戻るだろう。

その後の動向は、実際に英国がどんな交渉方針を立案するのか、EUは英国とどう向き合うつもりなのか、英国に進出している企業はどう対応するのか等々、あくまでもリアルな次元に属する要因が決めることである。

基本はそうなのだが、やはり不透明感の高まりは投資を抑え、1~2年の景気後退は避けられんかもねえ・・・、短期的・マクロ的にはこの辺りの判断になろう。

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『英国は離脱の混乱をおさめるのに10年、離脱を後悔し始めてから10年、EU再加入を申請しようと決心するまでに10年、再加入申請が認められるまでに10年、40年後には元に戻るだろう』と、こんな見通しを語る人もいるようだ。

民主的な手続きでなされる政治的決定は、長い目で見てその国の国民の暮らしを全体として豊かにする、幸福にするはずのものであろう。政治はそういう風に行われていくはずだ。こう考えると、英国人がより満足できる道が、離脱の後に見つかるだろうし、おそらく英政府はEU当局と交渉して何とか見つけるだろう。

見通しとしては上のようになる。ただ、これは離脱した英国と残ったEUとの関係だけのことだ。間接効果、というか英国の行動が他国に与える影響と、その影響が英国にフィードバックする戦略効果までを考える場合に、今回の英国の選択が真に英国の利益をもたらすかどうか、定かではない。実にリスキーな選択だといえる。

それほどのリスクを覚悟してでも、EU当局の指図は受けたくないと、そう思わせる何かがあったとすれば、欧州統合そのものに大きな方向転換が迫られている ― 多分、根底には旧ソ連圏に対して純粋に政治的な観点から推し進めたEUの拡大戦略が(どの国の利益を反映した戦略であったのかは置いておくとして)経済的には無理だったという現実があるのだろう。

本ブログには、英国のEU離脱に関して5年前から関係情報をメモしている。左上の検索欄に<英国 EU>と入れて検索すると、最初の投稿は2011年時点にさかのぼる。そこでは(当時の時点で)すでに70%の英国人がEU残留/離脱の国民投票を望んでいるという世論調査結果が紹介されている。

シリア内戦をきっかけにする難民の大量発生は比較的最近に問題になってきたものだ。それより以前に、すでに英国民はEUに対して不満をもっていたわけであり、不信の根は深かったのだろう。

40年後に英国が戻ろうとしても、その時にはEUそのものが無くなっている可能性もゼロではない。

【加筆】

それにしても「国民投票」という政治ツールは、即効性はあるものの、実に危険ではないか。

国民投票の結果を再確認する国民投票を3か月くらい経ってから実施すればいいかもしれないネエ・・・。前の国民投票を否決する国民投票になる可能性はいつだってあるだろう。人の気持ちは変わるものだ。

2016年6月24日金曜日

EU離脱: 『何があるか分からない』のは本当だった

ひょっとするとと思っていたが、まさか離脱が多数を占めるとは想定外だった。英国の国民投票である。

ソ連崩壊以来、欧州が台頭して旧ソ連圏は後退した。ロシアのプーチン政権は経済制裁の下で逼塞状態にある。

英国がすぐにEUから離脱するわけではないが、結論は決まってしまった。ヨーロッパの弱体化が進むのは確実だ。

ロシアは喜ぶだろう。ロシアとドイツは今のところ(歴史的にも)悪くはない。ヨーロッパは弱体化する。その中でドイツは欧州筆頭国になる勢いを示すだろう。フランスは単独でドイツとやりあう必要がある。フランスは落胆しているだろう。落胆したフランスはロシアとの距離を縮めようとするだろう。ロシアは仏独を天秤にかけるに違いない。ロシアのプーチン大統領は中国を訪問する予定だが、過剰生産、過剰設備にあえぐ中国にはロシアの石油を爆買いする意欲はもうないだろう。そんな中国に頭を下げて頼みごとをする必要がなくなったとすれば、プーチン大統領は幸運ではないか。逆に、ロシアに貸しを作るチャンスを逸するだろう習近平国家主席は落胆を感じているだろう。日本にとっては少し有り難い話かもしれない。まさに『風が吹いて桶屋がもうかる』という話しである。欧州と距離をおく英国は、米国が対欧州、対ロシア戦略を考える際の価値が下がってしまったが、弱体化しロシアの影響力が強まる今後のヨーロッパ大陸に直面するとき、英国の存在はやはり大きいだろう。

非常に長い目でみて英国にとって欧州と距離を置くのが得か、共同体の一員であるのが得か、それは現時点ではなかなか予想できない所だ。しかし、自分の国の運命は自国で自由に決めたい、それができるだけの外交、経済資源を英国はもっているというなら、それはヤッパリ持っているのだろう。

それにしてもBP、RIO TINTO、HSBC、GLAXOなど英企業に投資するなら、今夜に買えばよかった・・・・そう思う人は多かろう。待っていた賢明な(?)人は、今日が千載一遇のチャンスだと思うだろう。

小生も「残留派」が勝つだろうと思っていた。

「世界経済は危機にある」と、安倍総理はサミットで話したそうだが、今後半年、米大統領選挙もある中で、来年4月に消費税率を引き上げると決めてしまっていいんですかと、それが心配だったから再延期したのです。「だから言ったじゃないですか」、そう言えるようになったわけで、日本の安倍総理もロシアのプーチン大統領と同じく、心中でシメシメと思ったりもしているのではないかねえ・・・・・。

『これでもうイギリスはダメだ』と断定して、欧州の拠点をパリやフランクフルトに移す、ロシアとの関係を強化するなど軽薄なことををすれば、それは第一次大戦後に大英帝国はもうダメだと軽んじて、ドイツの勢いに幻惑され、最終的に失敗した戦前の二の舞になるだろう。ここはよく吟味したほうがいいと思うねえ・・・。

それにしても、競馬やパチンコとは違う、実に迫力があるリアルそのものの政治劇ではあった。まあ、いま世界で話されているのは『キャメロン首相も、ホント、アホじゃなあ』。そんなところだろう。

2016年6月22日水曜日

離脱と決まる前日にしてはこの株価はない: FT指数

22日のロンドン株式市場は、国民投票前日であるにもかかわらず前日比プラスにある。まだ終わっていないが、FT指数は現在、前日比0.6%の上昇だ ― 但し、午後遅くに入って下げに転じているようでもある。

残留派の労働党議員暗殺事件の直後、一時は残留派が多数を占めるようになっていた世論調査も再び離脱派優勢を示すようになったそうだ。

にもかかわらず、株式市場が前日比プラスであるとはこれいかに、だ。当てにならないのは、世論調査のほうか、それとも英国株に将来をかける経済人がノーテンキであるのか。

この点についての感想はともかく、だ。確実に言えることは、毎日毎日、イギリス国民の心情は刻々として変わるのだなあという事実である。

ということは、大事な国の方向が<その日の気分>で決められる。そういうことでありますなあ、ということだ。いいのかな・・・こんなことで。

× × ×

先日の報道記事のように、最終的には英国一国だけが選択の結果を負担することになるのだろうと考えられる。その外側の世界市場は、今回のイギリスの選択にほとんど何も影響されずにこれまでの軌道をたどっていくだろう。

英企業でさえも、世界市場を相手にしているメガ企業は、ブリテン島に執着する考えはなにもないだろう。

それでも、23日のイギリス人の投票結果は大きな波紋となって株価や商品市況を動かしていくだろう。生産設備調整を余儀なくされる企業も出てくるだろう。

確かに世界に降りかかってくるコストもゼロではない。原発事故を起こした日本に暮らす人間がいうセリフじゃああるまいが、本当に迷惑な話である。

× × ×

ギリシアは、EUを離脱して債務を踏み倒し、通貨を暴落させるほうが、最終的にはギリシア国民は助かったと思うはずである。しかし、まだ残留しているし、ギリシア国民も残留したいと思っている。

イギリスは、EUに残留し、大陸欧州への影響力を持ち続けるほうが、最終的にはイギリス国民はよかったと思うはずである。しかし、離脱したいと思っている。そして本当に離脱するかもしれない。

人は色々だが、国もいろいろだ。

英国のEU離脱レファレンダムが近づいてきた

標題の件で離脱派が残留派の国会議員を暗殺したというので英国の国情はずいぶんと先鋭化し、複雑化しているようだ。

総じて首都ロンドンは残留を支持する人が多く、疲弊した地方都市は離脱を支持する人が多いという。

新聞も割れている。
 【ロンドン=岡部伸】英高級紙タイムズ(18日付)は1面で欧州連合(EU)離脱を問う23日の国民投票に関し、「なぜ残留が英国にとって最善か」との論説記事を掲載し、残留支持を表明した。
 同紙は「最善の結果は、自由貿易と改革を重んじるEU加盟国との同盟を英国が主導することだ」と指摘。「われわれは改革に向け残留した方が望ましいと信じる」と論じた。
 一方、英国最大の120万部の発行部数を誇る大衆紙サンは13日、離脱支持を訴える記事を掲載。両紙は新聞王のルパート・マードック氏が経営するニューズ・コーポレーション傘下の新聞。昨年の総選挙では共に保守党支持を打ち出したが、今回の国民投票では購読者層に合わせて編集方針を変えたとみられる。
 英経済紙のフィナンシャル・タイムズは残留支持を表明している。
(出所)産経ニュース、2016年6月18日

地域別にも濃淡がありそうだが、所得階層、というか社会階層別にも違いがありそうだ。

「上流」は残留。「下流」は離脱。

「中流」は?

上流志向であれば残留を支持。反エリートであれば離脱を支持。 ま、そんな所ではないかなあ・・・。

年齢別にセグメントしても、総じて若者は残留支持、中高年は離脱支持だそうだ。

性別ではどうなのだろう?・・・と思ったりする。男女で分けても、有意ではないのか、な。

まあ、概して言えば、地方で暮らす、中高年の、どちらかといえば低所得層ほど、EU離脱を望んでいる・・・と、データからはそう言えるわけだ。人口だけをみると、全英国的には多数なんだろうねえ。

多数が全体の方向を決めるのが、民主主義であると言われれば、確かに民主主義であるとも言えるだろうねえ…釈然としないが。

そんなところだ。

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そういえば、米経済をとりまく四つのリスクが6月10日付けのWSJで紹介されていた。その四つとは、1.中国、2.設備投資、3.米政治(トランプ効果?)、4.米景気の失速速度であった。気になる英国の国民投票だが、これをアメリカにとってのリスクに数えたのは質問された専門家70人の中の3人のみであったという。

アメリカにはほとんど影響がなく、日本には津波のような影響がある。これも不自然な思考である。

世界経済においては、火事になった家が一軒出た。その時は大変だが、実はこの位の事で終わってしまう可能性は十分にある。むしろ(英国内を含め)世界の投機家に絶好のチャンスを提供しているとも言えそうだ。

国民投票といえばいかにも民主的だが、あまり賢明な選択ではない。英国のキャメロン政権が、EUを脅迫するつもりで約束したのが、本当の火事になってしまった感がする。

ま、いうなれば政治家による「失火」という辺りになるのではないか。

2016年6月20日月曜日

最近の枕元にある本

小学生時代の趣味は枕の側にあった書棚の一番下に並んでいた『日本百科大事典』からランダムに一冊をとって、眠くなるまでランダムに開いたページを読むことだった ー このことは既に投稿した。

最近、枕元に並んでいる書籍は、小生の読書歴を振り返るとややリバイバル調で、岡本綺堂の『半七捕物帳』、チェスタートンのブラウン神父もの、そしてつい先日に岩波文庫から出版された『自選 谷川俊太郎詩集』である。

チェスタートンは一冊目の「童心」と次作品の「知恵」を置いてあり、半七のほうは光文社時代小説文庫の第一巻がある。

半七は、青空文庫にも岡本綺堂の作品が多数収録されているので、買わなくともよいと言えば買う必要はないのだが、気に入った個所にもう一度直ぐに戻りたい時など、やっぱり本当の本に勝るものはないわけで、そこはどれほど進んでもKindleでは読書の体感という点で相手にならない。

それにしても、チェスタートンの叙述は中村保男の訳本で読んでいるのだが、蕭条とした風景描写がいかにも英国風であって、若いころにはピンと来なかった味わいがわかるようになった。その味わいが岡本綺堂の作品からも共通して感じられるのが非常に面白いと思う。半七シリーズは、幕府御家人の長男に生まれた綺堂が大正6年から昭和11年まで大体20年にわたって書き続けたものだが、江戸に生きて明治に日をおくっている老人の心境や、かつて旗本であった親族を思う語り手、町人の言葉遣いなど、すべてにリアリティの裏付けがある。

大学時代には、ヴァンダインやクロフツ、高木彬光や鮎川哲也、横溝正史を乱読し、仕事を始めてからはルカレやヴィリエがお気に入りとなり、池波正太郎の『鬼平犯科帳』に没頭したりした。その後はホームズに戻ったり、東野圭吾を見つけたりしていたが、『剣客商売』を読みつくしたあとは、ミステリー探しに飽きた状態になった。

どうやら元の好みに戻っているようだ。

チェスタートンの「童心」の奥付きをみると1991年9月20日15版とある。「知恵」は1983年8月12日3版になっている。

順番が逆になっている・・・。確か、発表順に買ったはずなのだが。いまある「童心」は捨てた後に買いなおしたものなのか・・・?

1991年9月というと母が亡くなって翌年のことだ。何か思うことがあってブラウン神父の一冊目を買い直したのかもしれない。が、当時はまだ波長が合わなかったようで、そのまま打っちゃっておいたのだな。

20年以上も放置しておいた本を偶々手に取って再び読んでみると、「実にいい」と感じる。こういうつきあい方は、電子書籍ではちょっと出来ないのじゃあないか。

本には本の良いところがある。

追伸:

谷川俊太郎の作品。学生時代には文庫本の三好達治をいつも鞄にいれていた。その三好の作品とよく似ているので、数年前、集英社文庫の『詩選集』全三巻を買った。が、文庫にするならやはり一冊にまとめてあるのが便利だ。

それにしても「20億光年の孤独」の中の「ネロ‐愛された小さな犬に」と、三好達治の「測量船」にある「Memoire」から「アヴェ・マリア」まで(岩波文庫版による)の感性はよく似ている。

二人はどうも師弟関係にあったことを巻末の解説で知った。

いま文庫本の三好達治詩集にはさんである栞は「秋日口占」にある。

ふたつなきいのちをかくて
愚かにもうしなひつるよ 
秋の日の高きにたちて
こしかたをおもへばかなし

案外若いころである。本当に歳をとってから思うことは上とは少し違うだろうと思うようになった。