標題の件で離脱派が残留派の国会議員を暗殺したというので英国の国情はずいぶんと先鋭化し、複雑化しているようだ。
総じて首都ロンドンは残留を支持する人が多く、疲弊した地方都市は離脱を支持する人が多いという。
新聞も割れている。
【ロンドン=岡部伸】英高級紙タイムズ(18日付)は1面で欧州連合(EU)離脱を問う23日の国民投票に関し、「なぜ残留が英国にとって最善か」との論説記事を掲載し、残留支持を表明した。(出所)産経ニュース、2016年6月18日
同紙は「最善の結果は、自由貿易と改革を重んじるEU加盟国との同盟を英国が主導することだ」と指摘。「われわれは改革に向け残留した方が望ましいと信じる」と論じた。
一方、英国最大の120万部の発行部数を誇る大衆紙サンは13日、離脱支持を訴える記事を掲載。両紙は新聞王のルパート・マードック氏が経営するニューズ・コーポレーション傘下の新聞。昨年の総選挙では共に保守党支持を打ち出したが、今回の国民投票では購読者層に合わせて編集方針を変えたとみられる。
英経済紙のフィナンシャル・タイムズは残留支持を表明している。
地域別にも濃淡がありそうだが、所得階層、というか社会階層別にも違いがありそうだ。
「上流」は残留。「下流」は離脱。
「中流」は?
上流志向であれば残留を支持。反エリートであれば離脱を支持。 ま、そんな所ではないかなあ・・・。
年齢別にセグメントしても、総じて若者は残留支持、中高年は離脱支持だそうだ。
性別ではどうなのだろう?・・・と思ったりする。男女で分けても、有意ではないのか、な。
まあ、概して言えば、地方で暮らす、中高年の、どちらかといえば低所得層ほど、EU離脱を望んでいる・・・と、データからはそう言えるわけだ。人口だけをみると、全英国的には多数なんだろうねえ。
多数が全体の方向を決めるのが、民主主義であると言われれば、確かに民主主義であるとも言えるだろうねえ…釈然としないが。
そんなところだ。
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そういえば、米経済をとりまく四つのリスクが6月10日付けのWSJで紹介されていた。その四つとは、1.中国、2.設備投資、3.米政治(トランプ効果?)、4.米景気の失速速度であった。気になる英国の国民投票だが、これをアメリカにとってのリスクに数えたのは質問された専門家70人の中の3人のみであったという。
アメリカにはほとんど影響がなく、日本には津波のような影響がある。これも不自然な思考である。
世界経済においては、火事になった家が一軒出た。その時は大変だが、実はこの位の事で終わってしまう可能性は十分にある。むしろ(英国内を含め)世界の投機家に絶好のチャンスを提供しているとも言えそうだ。
国民投票といえばいかにも民主的だが、あまり賢明な選択ではない。英国のキャメロン政権が、EUを脅迫するつもりで約束したのが、本当の火事になってしまった感がする。
ま、いうなれば政治家による「失火」という辺りになるのではないか。
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