株価は世界的に大暴落した。特に、香港上海銀行(HSBC)やバークレイズなどの金融関連はそうだ。
あれからまだ一週間も経っていない。
しかし、ロンドン市場やNY市場で英国株は投票前の水準をほぼ取り戻しつつある。
流石に金融株は元に戻っているとは言えないが、もともと、英国の金融関連株は国民投票の結果というより、中国経済への不安から先行きに自信が持てないという一面のほうが強かった。
日本株も、今回もまた下げるに急で回復にはモタモタと遅れている感じがするが、近日内に英国の国民投票などはいつのことだったかと、そんな状態に戻るであろう。
国民投票自体は、やはり純粋に政治的なイベントであったと見える。というより、一体、何をどう変えたいのだろう、イギリス人は……、そう問いかけると、政治でさえもなく、イギリス社会に爆発的に流行した熱狂(ユーフォリア)。これまた、『根拠なき熱狂』の一例であったかもしれんネ、そう思っている。何しろ、イギリスと言えば18世紀初め、資本主義がまだ根付いてもいない昔、「南海泡沫事件」という一大バブルに踊った国である。
大雑把に割り切れば、非常にイギリス・ローカル。だから、先日の投稿でも『政治家による失火事件』にたとえたのだ、な。
ずいぶんハタ迷惑なレファレンダムであったが、結局、何が残ったのだろう?
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英国とEUがどんな関係を取り結んで落着するかによるのだろう。双方が合意するまでは、長年月がかかるに違いない。
肝心の離脱派の主要人物さえ『すぐに離脱をする必要はない』と語っている。英国は国民投票を対欧州交渉力を強化するための脅迫に使ってきたが、結論は「離脱」と出た。
「離脱」の結論を出しておきながら、残留状態を続けつつ欧州と交渉を続けようとしても、それは筋が通らないというのは、確かにドイツの言い分に理屈が通っている。交渉をするなら「離脱交渉あるのみ」というのが、ロジカルな結論だ。
英国は出してはならない結論を性急に出したため、最大の交渉手段を失った。
経済の実態は変わらないが、戦術ミスを犯した分、英国は何をしようとどこかで損失をこうむる。
英国が損した分、(ロシアを含めた)大陸欧州のどこかの国が得をする。そう見るのが正しい目線だろう。
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ずっと先のことは……、それは誰にも予言はできないだろう。
「予測」は常に外れる。「予言」はなおさらだ。無数の予言のどれかが結果的に的中する、それも当たり前だ。が、いまそう言っても、何にもならない。
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今回の国民投票。これは政治的バブルと言ったが、バブルといえば冷静な国民性にみえるオランダのほうが熱狂にかけては先輩だ。最初(?)のバブルとして有名な「チューリップバブル」が起こったのは、17世紀初頭、日本で言うと寛永時代でちょうど参勤交代が慣例化されようかという時代にあたる。
ということは、オランダでも「EU離脱」の政治的熱狂が起こりうるということか・・・。
一つ言えることは、「バブル」というのは時代の境目に発生しがちであるという経験則だ。大きな変化が世界を待ち受けているのだろう。
今回の場合、まあ、ネガティブバブルであったのが特徴ではあったが・・・。「爆発」ではなく、「爆縮」であったわけだな。
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