2017年8月31日木曜日

一言メモ: 対北朝鮮外交に戦略的余地はあるのか?

北朝鮮を国家として承認していない国は世界でも少数である(Wikipedia)。日本は米・韓とともにその数少ない未承認国の一つである。つまり、朝鮮半島全体は韓国の領土であるという立場を日本はとっている。そう解釈せざるをえない ー 現に韓国はその立場にあることを憲法で明確にしている(と聞いている)。

朝鮮戦争はいまだに「休戦状態」にある。米・韓は北朝鮮の敵国である状態はまだ続いている。

故に、北朝鮮が現にとっている行動を「国際平和を破壊する行動」と直ちに断定するのはあまりに此方側の見方に偏っており一面的に過ぎる。こんな観点もあると言えばあるだろう ー だからこそ中露は北朝鮮を陰に陽に支援し続けている。「より有効な経済制裁に向けて中露の協力を日米は要請する」といっても、中露の国益にかなうわけでもないので、おそらく機能するまい。

ともかく現状は持続可能でない。しかし、現状を根本的に変更する試みも不可能に近かろう。

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日本が北朝鮮を承認することのプラスは何か?検討してもよい時機ではないのか(というか、もう検討はしていると思うが)。

東アジアのありうべき状態は「現状固定の相互承認」のみである(と思われる)。朝鮮半島の現状を固定し、平和共存を目指す方向は、日本にとっては確かにプラスである(どのようなプラスであるのかは多面的だが概ね自明である)。

朝鮮戦争開始と休戦までの期間、ずっと日本はアメリカの占領下にあった。朝鮮戦争の結果である半島分裂は日本の責任ではない。が、明治以来の外交史を振り返ると半島の現状に日本は相当の責任を負っている。日本は日本で選択すべき朝鮮半島外交があるだろう。

イギリスもドイツもカナダもオーストラリアも北朝鮮を国家として承認している。北朝鮮の存続を認めている。国家としての承認は平和を築く交渉の第一歩である。もちろん日本による北朝鮮承認となると、東アジアにおける波及効果は(特に韓国に対しては)かなり大きいに違いない。が、日本はまだ使っていない外交上のリソースを有していると考えるべきだ。

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外交を尽くしていないにもかかわらず、軍事行動を検討するのは、現行憲法の理念を真っ向から否定するものだ。統治のロジックが破綻している、と。そう言われても仕方がない。

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