石破首相の10万円商品券は、世論を盛り上げるには話が小さすぎる。大体、この位の金額なら民間企業の社内でも似た事例があるかもしれない。TV局でやっていたとすればブーメランだ。それが怖い。かと言って、ノロ・ウイルスは話題として地味。国民民主党や立憲民主党、維新の会といった「野党」も、何だかイマヒトツ世間受けが悪い、「全野党連合」なんてものが出て来れば政権交代にもなるわけで、これは一択で決まりだが……。どうやら、それもなさそうだ。兵庫県知事の斎藤知事。これも下手にとり上げると、火傷をするリスクがありそうだ。トランプ大統領の関税引き上げも、どう説明するかで、スポンサーの怒りを買ったり、そうかと思えばアメリカ大使館から怒られるかもしれぬで、何だか怖い。愛媛と岡山の山火事も(今のところ)どうなるか分からない・・・
だから「ニュース情報番組など止めればイイのに」と思うのだが・・・そんな訳なのであろうか、ようやく首都圏内マンション価格の暴騰が今朝のモーニングショーでとりあげられていた。
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視ていると
現在のマンション価格急騰ですが、需要があるから上がるわけです。思うに、これは投機ではなく投資だと思うンです。税をかけて価格を抑える検討に入っているらしいンですが、ナンセンスですヨ。持っていてダメなら、貸せばイイだけですから。つまり物件として優良なんです。だから買う。それで上がる。合理的ですね。投機ではなく投資です。
経済畑には素人のレギュラー・コメンテーターがこんな風な事を(正確に覚えてはいないが)語っていた。
イヤイヤ、何とも言えない「デジャブ感」がありました。
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1985年の『プラザ合意』で急速な円高が進行した。それに危機感を感じた日本政府は、超低金利政策で景気下支えに打って出た。円高と超低金利の日本社会で盛り上がるのは、当然、製造業ではなく、不動産開発。特にリゾート開発であった。全国の土地・建物の価格は1980年代後半に急騰した。「バブル景気」である。カネ余りの中、金融市場も盛況を極め、後に「不良債権」となる「投資プロジェクト」にどんどん融資されていたのもこの時代だ。
日銀としては、資産価格の暴騰を抑えるため金融引き締めに転じるべきであったが、ちょうどその当時、《経済大国・日本》のユーフォリア(=陶酔感)に浸っていたのだろうか、
不動産価格の上昇は、国際金融センターとしての東京の地位向上から不動産投資が増えているためであり、買いは実需であって投資である。投機ではない。故に、現在の不動産価格上昇は合理的に説明できる。政策的に抑えるべきではない。
こんな見解を述べる経済学者、エコノミストがいかに多かったか。記憶している人は、次第に少なくなりつつあるかもしれない。
バブルがバブルでないと錯覚する背景には、何らかの理由、根拠が常にある。40年前のバブル景気では、《経済大国・日本》の酩酊感が価格上昇を当然と思わせた。いまは、《円安日本の割安感》が合理的説明を可能にしている。
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チューリップの球根がバブルを起こしたこともある。(ほとんど)架空の企業の株券がバブル投機の対象になったことも歴史にはある。
バブルは時として合理的である。
上がると期待できるから買う。結果として、上がるのが資産価格バブルである。
首都圏のマンション価格上昇は、既にバブルである可能性は高い。賃貸運用した場合の投資利回りから(ある程度は)見当がつくはずだ。国内大都市圏のマンション価格を比較分析すればイイだけだ。既にミクロデータからバブルを検知する方法も研究開発されている。
しかし、1980年代後半の「バブル景気」の最中でも同じであったが、
これは合理的な価格上昇で、投機ではありません。
こんな意見がメディア、世間で多数派を占めている限り、バブルは続く。これがバブルのロジックである。そもそも近代社会で、《バブル》という経済現象と《マスメディア》という情報産業の勃興とは、シンクロしているのである。
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バブルは中央銀行による金利引き上げが特効薬であり、天敵とも言える。しかし、
中央銀行は、いまは金利を引き上げにくいのではないか?
と。そんな憶測を生むような政治経済的・国際関係上の情況があれば、その分だけバブルは強勢になる。バブルは「山火事」に似ているのだ。
バブルは、「これはバブルではないか」というリスクを世間が感じた瞬間に(=1、2か月以内に)、急激に崩壊に転じる。
バブル崩壊は、ある時点で、(懸念は広がっているにせよ)予想困難なタイミングで始まる。
今回の首都圏マンション価格も、そんな風に下落へと転じて、上昇局面は終わる。結果として、バブルであったか否かは、むしろ事後的に判明するものであると、小生は思っている。
少なくとも、
政策的にマンション価格上昇を押さえ込む
と。本気で価格押さえ込みを断行する程の大胆な(というより無知な?)政治家・専門家は今の日本にはいない(と思う)。いわゆる
羹に懲りてなますを吹く(の正負逆バージョン?)
そう、観ているところです。
故に、既にバブルなのであれば、行くところまで行く。早めに手を打てる人はいない。最後まで行って40年の昔と同じく、再び崩壊する。後処理も遅れる。迅速な後始末を実行できる政治家が日本にはいない。こう予想したりしています。
歴史は繰り返す。それは以前の経験を忘却するのが人間であるからだ。こう考える次第。
あとは、瀬戸内の山火事の広がりと備蓄米放出後の米価、大阪万博の客の入りくらいかネエ・・・。予算案の年度内成立は地味だからナア・・・。
リスク回避を是とする現代日本のメディア業界。安全に「放送可能」なイシューを探すのに苦労しているTV報道局現場の(涙ぐましい?)苦労が伝わってくる今日この頃であります。
【加筆修正:2025-03-25】
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