「とても納得できない」。無免許運転の厳罰化を求めて活動を続けた遺族らは、悔しさをにじませた。京都府亀岡市で集団登校中の児童ら10人が死傷した事故の判決。京都地裁は19日、無免許運転の少年(19)に求刑を下回る懲役5~8年の不定期刑を言い渡した。悲劇を防ぐ手立てはないのか。(出所)Gooニュース、2013年2月19日(火)20:46配信それはそうだろう。無免許運転だけでは危険運転致死傷罪に問えないし、かつ少年は何度も無免許運転を繰り返していたので、運転技能はもっていた、故に無免許であるという理由だけから危険であるとは判定できない。こんな屁理屈に − 法律専門家は別として − 誰が納得するものか、普通はそう考えるはずだ。
そもそも運転免許を取得するためには、技能だけでは十分でなく、安全運転義務を果たすのに不可欠な交通ルールや安全が最も大事なことであるという安全マインドの理解、それを徹底する座学と学科試験に合格して、はじめて運転ができるようになる。だから自動車学校では技能講習に加えて学科講習があるのだ。技能だけでは安全運転義務を履行できないというロジックだな。
被告人の少年は無免許だった。安全マインドを有していないことは自明であろう。故に、運転技能があるにしても、それだけでは安全運転はできないのであって、したがって当日の運転は<危険運転>に該当する。すでに危険運転をしていたわけだから ― 居眠りをしていたにせよ、していなかったにせよ ― 人身事故を起こした以上、ただちに<危険運転致死傷罪>が成立する。そう判定するのが論理というものだろうし、こう議論するのが社会常識でもあろう。
何より不思議なのは、中学生でも理解できるこの簡単なロジックが、検察官の念頭にも裁判官の頭の中にもないらしく見えるということだ。奇妙だねえ・・・法をどう解釈するかは裁判官の裁量である。とすれば、無免許者は危険運転致死傷罪の対象外とせざるをえない条文になっているのだろうか?まあ、自ら調べてみる意欲は感じないが、やっぱり変である。
× × ×
いずれにしても3人が死亡している事故である。それで懲役5年ないし8年か。そうかと思うと、他方、次の事例もある。
札幌・中央署は14日、市営地下鉄の駅で女性の下半身を触ったとして、北海道迷惑防止条例違反(痴漢)の現行犯で、札幌市環境局みどりの推進課職員、木田慶之容疑者(36)=札幌市北区屯田=を逮捕した。「手が当たったが、故意ではない」と容疑を否認している。逮捕された時刻から推察するに出勤途上にあったのであろう。おそらく職場には携帯で遅れる旨連絡したのだと思うし、そんな心理的余裕もなかったかもしれない。
逮捕容疑は14日午前8時20分ごろ、札幌市中央区の地下鉄南北線大通駅で、降車する際に同市北区の女性(27)の下半身を触った疑い。(出所)msn産経ニュース、2013.2.14 14:54配信
本人は否認しているという。もし否認が真実なら当人が蒙った精神的その他の損害はどう補償されるのだろう。もし否認が嘘であり、実際に痴漢行為を行っているとすれば、おそらく公務員の職を失い、多分、処分は懲戒免職になるのではないか。そうすれば退職金も支払われず、36歳という年齢を考えれば再就職にも苦労するだろう。生涯給与の喪失額は1億円に達するかもしれない。妻子がいる場合、悪くすると離婚するかもしれない。何もかも、というわけではないが、失うものは巨大である。ま、刑務所には入らなくて済むだろうが、絶望して他の犯罪行為にはしり、結局は刑務所に行くことになるかもしれない。
× × ×
下半身をさわられたと言う女性には大変気の毒ではあるが、怪我をしたわけではなく、接触されて<嫌な気持ち>になったわけである。一方、亀岡暴走事故では3人が死亡しているのだ。 横並びに議論してはいけないという人もいるかもしれないが、そもそも犯罪の処罰にはバランスが必要であり、道理が通っていなければなるまい。並べて議論しなければいけないのだ。国家権力が制裁の場に直接的に関与しなければならないケースであるのかどうか。人的資源の効率的活用の観点からも関与するべき分野については吟味するべきだと小生は思ってしまうのだな。
× × ×
小生、警察、検察などの権力は、体内を流れる白血球と同じで、組織を破壊する敵を攻撃して捕捉する機能を果たしてはいるが、正常な細胞をも攻撃する場合がある。これと同じではないかと考えている。<社会組織内アレルギー反応>、こんな形容もできるか。なので、抗ヒスタミン剤というか、緩和措置が必要だ。
交通事故で死亡者が出た場合、危険運転であったかどうか、道義的責任があるかどうかという点など諸々の論点があるが、自動車保険があるおかげで紛争の解決は随分合理的になっている。カネで解決できる損害は多い。カネをもらって相手が納得するならカネを提供して解決すればよいのである。
保険が商品化されているのは注意義務を守るだけでは防止できないリスクがあるからだ。自分の行為が、というより自分の言動が、痴漢行為その他のハラスメントにあたるのかどうか、確然としないというリスクが現代社会に生まれつつあるのではないだろうか。だとすれば、覚えのない犯罪行為の容疑者になった場合、<冤罪保険>を活用して弁護士を雇用する。そんな新型の保険商品もそろそろ必要になっているのかもしれない。小生、大いに期待したいところである。それとも、既にそんな保険はあるのかな……、小生が寡聞にして知らないだけかも。
0 件のコメント:
コメントを投稿