2016年6月1日水曜日

中国株価の見通しが難しいのだが

昨日は安倍首相がサミットで発言したという「リーマン前」発言はなかったという話が出てきた。「何だかおかしいよなあ」という声に屈したのだろう。

しかしながら、だ(小生がへそ曲がりであるのは自分でもわかっている)。
On Monday, the Shanghai A-Share Index slipped under the neckline of an intermediate head-and-shoulders top, sliding through a very thin Ichimoku cloud. Not surprisingly, volatility is at its highest in two months. The move adds weight to a view that over the medium term a trading band between 2,750 and 3,200 points is being established. However, we shall also allow for cautious probing down to the psychological 2,500 level, maybe even 2,200, acting as a magnet because this index is still in a long-term bear market. Downside pressure increases if we hold below the neckline, then below the lower edge of the cloud. This should push the index down to the lows of January and February at 2,750 points.
Source: South China Morning Post, 2016-5-10

上海市場の株価が2500を割るかどうかが心理的節目になるかもしれない。5月中旬の時点でそう見ている。どちらにしても上海市場は中期的な視点では依然として弱気でみるべき市場である。そんな見方が示されているーもちろんこの見方も多数の見方の中のサンプルでしかない。現実には、その後2800台から昨日は2900台に戻している。ではあるが、2015年に5000超まで暴騰した株価は明らかにバブルである。そのバブルが崩壊したことも明らかだろう。にも関わらず、まだなお3000近くの水準にある上海市場は調整不足である。これまでの経験則から憶測すればピーク比▲70パーセントの1500に向かって低落中であるとすら見るべきなのではないか・・・。

東京市場の株価は特に最近は上海市場とシンクロしながら変動していることが観察されている。実際、みずほFG社長も『リーマン級危機はすごく意識している』と日本経済新聞(5月30日付け)で述べている。そこではこうも述べている。
 みずほの方針転換を促した一つは「歴史観」だ。“経済危機10年周期説”。1987年の株暴落「ブラックマンデー」、97~98年の「アジア通貨危機」、そして2008年の「米リーマン・ショック」。佐藤社長は「見事に10年ごとに大きな危機が起きている。これは単なる偶然じゃないと思っている」と解説する。
 根拠は「資本主義は成長の過程で必ず負のエネルギーをためていくので、時々はき出さないと次の成長に向かえない」という考え方。米リーマン・ショックが起きたのは8年前。あと2、3年で10年目を迎える。「危機的なモノがここ数年で起きると思う。それをいち早く見つけた者が生き残れる」と強調した。
経済予測は天気予報よりもっと当たらないものだーマクロ経済理論の看板をかけてはいるものの、実際には「マクロ経済の一つの見方」くらいにうけとるのがよい。理屈とは別に、経験則が侮り難いということはビジネスに身を置いていれば納得するものである。

他方、投資家(投機家?)として著名なソロス氏は今年4月時点でもなお以下のように語っている。
著名投資家ジョージ・ソロス氏はこのほど、中国政府は大量失業が経済に大きなダメージを与えることを認識しており、失業者の受け皿としてサービス業の発展を促進していると指摘。これが中国の金融危機の爆発時期を先送りすることになるが、結果的に規模を拡大させる恐れがあると警告した。
ソロス氏は、サービス業が製造業の失業問題をすべてカバーできないと強調。また、経済の安定成長を維持させるため、中国政府が貸し出しペースを加速させていると指摘し、これが大きな金融危機の発生につながると警告した。
一方、ソロス氏は自身がアジア通貨を空売りしていると宣言しており、中国経済にネガティブな見方を示したほうが自身に有利だとの見方も出ている。
(出所)ロイター、2016年4月26日

これまた、多数の情報の中のサンプルに過ぎない。自分が思うとおりのデータを探して、自分の見方に合致するデータを実証的根拠として示しても、単なるデータマイニング、いやもっと悪質なデータクッキングに堕してしまうのは明らかだ。

それでも、上のような見方がある以上、「今はリーマン前のような雰囲気があることを否定できません」という意見を一笑に付すとすれば、素人ならいざしらず、もし経済専門家でありたいというなら、失格であると言わざるをえないだろう。

特に、今後1年間は何があるか分からないというのが、現時点の不透明さを表現する適切な言葉だと思うのだ、な。

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