2018年4月3日火曜日

メモ: トランプ大統領に関する一つ気になること

新年度早々、アメリカ・ト大統領に関して一つの心配、というより危惧、あるいはもっと軽い意味では気になること。

アマゾン・ドットコムが郵政公社(USPS)を食い物にしているとトランプ大統領がツイッターで投稿して、まず第1回目のアマゾン株価急落を(当然の結果として)誘った(3月28日)。その後、USPS関係者の側からアマゾンのお陰でUSPSは利益を確保しているという援護発言があり、加えてホワイトハウスからもアマゾンについて何らかの行動を検討しているわけではないという声明もあったことから、株価は回復してきていた。ところが、ト大統領が追い打ちをかけるように、アマゾンの節税・避税(更には脱税?)、郵政公社の料金が低廉に過ぎる点を指摘する投稿をしたことで、2回目の急落となった(4月2日)。更に、今回はマルコ・ルビオ上院議員もアマゾンが将来的に行使するかもしれない市場支配力を懸念する意見を表明したことで、IT関連株価全体の先行きが不透明化してきた。Amazonに限らず、Google、Facebook、NetflixのFANG4社、Microsoft、Intel、Appleなど現在のアメリカ経済を支えているテクノロジー企業は、市場シェア、占有技術など様々な面で競争優位にあることは明白で、市場支配力を現に有しているからであって、当のアメリカ政府が「これは独占規制の対象である」と切り込むのであれば、今後の影響は甚大である。

ただ、どうもおかしい・・・。

アマゾンがロビイストを変更する決定をして間もなくしてト大統領の発言があった。フェースブックはロシアが大統領選挙中にトランプ候補に有利な情報を発信する場として利用していたという批判の真っただ中にある。ザッカーバーグは国会に招請されるなど当局への協力姿勢を示さざるを得ない状況だ。

IT企業をめぐる色々なゴタゴタとト大統領の口先介入のタイミングが一致しすぎている。

アマゾンはトランプ大統領のNY市場に対する口先介入で10パーセント近い株価下落に襲われた。もし、大統領がツイッターに投稿することを事前に知っていれば、その人はアマゾン株を空売りしたい誘惑に打ち勝つのは難しい。その機会も2回あった。

大統領発言をめぐってインサイダー取引の可能性を誰もが想像するだろう。

今秋にはアメリカで中間選挙がある ―  だからといって、日本の選挙とは違うので、大統領自らが選挙資金を集める必要は薄いかもしれない。しかしメディア操作などカネが必要な仕事もあるかもしれない。

かつてNTT DoCoMo株が株式分割後に急騰した時、なぜか亡くなった小渕恵三元首相がドコモ株を事前に大量に買っていたというのでインサイダー取引ではないかと疑われたことがあった。

政治家と株式市場とは切っても切れない縁がある。それは口先でカネが調達できるからだ。だからこそ、政治家は市場については語りたがらない。李下に冠を正さず、である。ト大統領はあまりにも露骨だ。ということは逆に、ト大統領は真の意味でアメリカ経済の競争的環境の維持、企業全体の健全な発展を望んでいるのかもしれない。しかし、もしそうなら、ほかにも言い方があるだろう。

同じことを日本の安倍総理がもしも口にしていたら(絶対にそんなことはないはずだが)、モリカケ騒動を超える大騒動になっていたに違いない。

行政責任者の口先介入はあってよい時もある。しかし、今回の株価変動劇には疑惑の余地があるような気がする。ひょっとすると、既にSEC、FBIが市場関係者から情報を収集していたりするかもしれない。ひょっとすると、100年前のウィルソン政権からハーディング政権への交代劇が何もかも同じシナリオで再び繰り返される前振れかもしれない、と。そう気になっているところだ。






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