SNSではメジャーであるFacebookを運営しているメタ社が、トランプ次期大統領や共和党から批判が強いファクトチェックを停止すると発表したのは数日前のことだ。これに対して、バイデン現大統領が「恥ずべき決定」と非難したとの報道だ。例えばこんな感じだ:
US President Joe Biden has slammed US IT giant Meta's decision to end its third-party fact-checking program, calling it "shameful."
Meta CEO Mark Zuckerberg announced on Tuesday that the company decided to abandon fact-checking on its social media platforms Facebook and Instagram.
Speaking to reporters on Friday, Biden called the decision "contrary to American justice" and "really shameful."
Source: NHK World
Date: Saturday, Jan. 11, 23:32
URL: https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20250112_02/
全体に日本国内の報道では、上のNHK報道と概ね同じ視点から、
メタ社の方針転換、よろしからず!
と、こんな評価が大半を占めている。企業経営の自律性を重視する日本経済新聞ですら
SNSのフェイスブックなどを運営する米メタが、第三者機関による事実確認、ファクトチェックを米国で廃止すると発表した。代替機能を導入するものの偽情報などの増加につながる可能性があり、憂慮せざるを得ない。
このように「憂慮せざるを得ない」決定としてネガティブに報道している。
他方、同じ経済分野の報道で世界から高く評価されている英誌"The Economist"は、今回のメタ社の決定は正しい方向への第一歩だと評価している:
For all that, Meta’s moves are a step in the right direction. Social networks should stamp out illegal content. For the sake of advertisers’ business and users’ enjoyment, they will probably want to keep things civil. But it is past time that they got out of the business of ruling on what is right and wrong. Only a fool would claim that his social network was the truth.
Source: The Economist
URL: https://www.economist.com/leaders/2025/01/08/mark-zuckerbergs-u-turn-on-fact-checking-is-craven-but-correct
Google翻訳の和訳能力は合格レベルだと思うので、英文をそのまま転載しても問題はないだろう。
同誌編集部が最も重視している判断は、上の引用部分下から3行目の"But"以下の部分だ。
しかし、善悪(※ここは「正邪善悪」と訳すべきである、ナ)を判断するビジネスから手を引くべき時が来ている。自分のソーシャル ネットワークが真実だと主張するのは愚か者だけだ。
ちなみに上の記事のヘッドラインは
Social-media platforms should not be in the business of defining truth
従って、SNSはフィルターをかけるべきではない。あるテーマについて、どんな投稿があるかを視る時、SNS運営側はあらゆる意見を表示させるべきだ。コメントがあればコメントもそのまま表示するべきだ。何故なら、それが(ネットにアクセスする一部の階層に限定されてはいるが)社会全体の発言の縮図だからであって、それが世論のリアリティそのものであるからだ。
最も重要であるのは、真相つまり実在するリアリティであって、頭で信じている価値基準ではない。
どうもこの辺に、外国のメディアと日本のメディアとでは、報道という行為にコミットする者としての覚悟の違いが、可視化されているような気がする。
何だか日本のメディア企業の上層部が(密かに)抱いている《愚民観》が、ここに図らずも表面化しているとすら感じる。
とはいえ、これまた「報道のあるべき姿」という問いかけに対する価値判断であって、メディア各社ごとの信念による……、とも言えるかもしれない。
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