2011年12月1日木曜日

Globally Concerted Economic Policy - ドイツに振り回されているだけか

本日のWall Street Journalには欧米、中国による世界的危機対応措置が報道されている。
Alarmed central banks moved to ease strains in financial markets through U.S. dollar loans to European banks, cheering investors in the U.S. and Europe.
中国についても
China moved decisively to stimulate its economy by cutting its bank reserve requirements for the first time in nearly three years, in what analysts said could be the start of a campaign of monetary easing aimed at bolstering its economy.
日本経済新聞の一面にはドル資金供給に関する日米欧の6中央銀行による緊急対策がトップで報道されている。合意のポイントを日経から引用すると以下のようである。

  1. スワップ協定に基づく中銀のドル資金供給の金利を0.5%引き下げ。12月5日から実施。
  2. 協定の期限を2013年2月1日まで6ヶ月延長。
  3. 米ドル以外の通貨も融通する多角的スワップ協定を締結。
  4. 各中銀は民間銀行へのドル資金供給時に市場実勢金利への上乗せ分を0.5%下げ。
  5. ECBはドル資金供給時に民間銀行が差し入れる担保の基準を緩和。

中国の預金準備率引き下げも3年ぶりである。中国のインフレ率はまだなお5%程度と高く、政策当局はこれを4%程度まで押さえ込みたいと考えているはずだ、そのように小生は予測した。だから先進国が対欧州で足並みを揃えるとしても、中国が直ちに金融緩和に動くとは思わなかった。おそらく市場にとっても、中国が参加する形のグローバル協調緩和政策は、ちょっとしたサプライズではなかったか。実際ニューヨークのダウ30種平均は430ドルも上げた。英独仏の株価も3~5%も上げたというから、相当のプラス・ショックではあった。

ただこれは当面の火の勢いに水をかけた程度のことである。根因は欧州銀行の経営不安にあり、その不安をもたらしている一層本質的な原因である国債危機がある。その国債危機を収束させるには、もっともカネと経済力をもっているドイツが泥をかぶる必要がある。ドイツにとってEUが必要であれば、最後にドイツは自らの負担で欧州を救うだろう。ドイツにとって大欧州は生きるために必要な存在ではないと考えるなら、ドイツは自らの富をなげうってまで今の欧州を救おうとはしないだろう。

ドイツは今の欧州には不満をもっているはずだ。だから、ただでは手を差し伸べないはずだ。しかしドイツが手を差し伸べないなら、ドイツは周辺隣国から信頼を失い、ドイツの自民族主義に対する警戒心を誘うだろう。ドイツがいま欧州を救えば、両次大戦の負債を返済し、自由な手足を取り戻せるだろう。しかし、その確約はない。まだ第2次大戦終結から66年しか経っていない。

イギリスも大陸欧州を注視しているが、日本の北辺にある港町からも今後ドイツがどう動くのか、興味津々で見ているところだ。

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