今回の事件の根本には「報道の自由」、「表現の自由」と、同じように自由であるはずの「信仰」がある。問題の本質はこの二つの兼ね合いなのだろう。信仰は自由だと言っておきながら、少数の人々、新参の人々が共有する信仰への敬意が欠ければ、ことは言論の領域内では収まらず、リアルな力の使用が誘発され、ついには現実の社会が揺らぐことになる。こう想定しておくのは当たり前ではないかと思う。
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某氷上のアスリートが自分のSNSで愛児の写真を公開したところ、ネガティブなコメントが殺到し、これに対して正面から反論したというので、その行為に対する「賛否両論」で盛り上がっているという。
昔と違って、多数の人の意見をデータとして集めるのは本当に低コストで済むようになった。何にせよすぐに『世間の賛否を問う』というやり方はその副産物である。
異常気象を正常化するため世界の人口を今後50年で3割減にすることは正しい方向かどうか?ネットでアンケート調査を行って賛否を問うことにしよう。・・・・・・ありえるな。
100歳を超えれば十分な長寿だから、後期高齢者のうち100歳超の人を超高齢者と定義したうえで、医療費の自己負担率を引き上げることにしよう。全額自己負担とするか。これが駄目なら増税だ。これも判断が悩ましいのでアンケート調査をして世の賛否を問うことにしよう。・・・・・・、ないとは思うが、民主主義の危機そのものだね。
アメリカの「近代文明を考え直す会」は地動説を否定して天動説を唱えているらしい。宇宙の中心というのは、宇宙には涯てがないので、どこをとっても許されるのだ、と。なら地球が中心だ、と。そう言っているらしい。これにも賛否両論があるらしい……。
上のすべては事実になるかもしれないフィクションだ。
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マクドナルドほか食品への異物混入事件が続いている。そういえば、小生の母親は決して弁当はおろか、惣菜も外で買ってきて家で食べようとはしなかった。「何が入ってるか分からないでしょ!」と話していた。何しろ「戦後闇市」の経験者だ。「何が入ってるか分からないでしょ」は実に自然である。そういえば、小生、祭りのときの綿菓子すら食わせてはもらえなかったなあ……。
この30年間、日本で最も拡大した産業として、IT業界は当然として、外食産業もある。もはや日本の典型的家庭は、一日三回の食事をすべて家で料理しているわけではない。朝食をつくらない家庭はとても多い。昼食はコンビニ頼み。夜は「ほっかほっか弁当」が頼り。料理するのは時間がかかる。異物混入は、起こるべきトラブルが起きてしまったとも思うのだ。
10億個も製造していれば、3個くらいは信じられない原因でまさかというモノが入ってしまうこともある。一つの逆説だと思うが、確率的に信じられないことも、意外に少ない試行で意外に高い確率で起こってしまうものである。
たとえば正規分布において±3シグマを超える結果は上下両側で0.3パーセントの確率しかない。だから、もしも大きさが3シグマを超える値が100個のサンプルに混じって出てくれば、これはおかしいと。そう感じるのが、「常識」だと思われる。
では100個のサンプルをとろう。サンプルの最大値はどんな値になるか。その可能性を確率分布で見よう。
上の図は、標準正規分布から100個のサンプルを抽出し、サンプルの最大値を記録する実験を1万回反復したときのヒストグラムである。実験全体のうち1290回、12.9パーセントは最大値がプラス3シグマを超えている。
3シグマを超える値の出現頻度は、本当は0.15パーセントしかないのだが、100個のサンプルをとるとすれば、確率13パーセントで3シグマを超える値が入ってきてしまうわけだ。これも常識が通じない結果ではないだろうか。
そんな値は1個でも入ったら駄目だというなら、そもそも最初からそんな値を無くさなければならない。しかし、これは技術の限界を超えるかもしれない。出来るとしても管理コストがはね上がるからハンバーガー1個の価格が500円になるかもしれない。ビッグマックが2000円になるかも。でもまあ、これも安全コストと考えれば、納得されるのだろうか……。
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