2015年1月15日木曜日

靖国: 単なる一神社が東アジアの火薬庫になってしまうとは…

また再び、というか再三再四でも収まるまいが、靖国神社問題に火が付きそうだ。

Record Chinaがこんな文章がある。
2015年1月12日、日本政府が首相の靖国神社参拝は宗教目的でなければ合憲とする答弁書を閣議決定したことについて、中国や韓国で反発が強まっている。中国版ツイッター・微博(ウェイボー)にはさまざまなコメントが寄せられた。
(出所)http://www.recordchina.co.jp/a100537.html

以下、『くそったれどもめ』等々、罵詈雑言もあれば、歴史への態度への批判などなど、色々な声が紹介されている。

政府がどんな動機から上のような答弁書を決定したのか不明確だが、事実そのものはNHKも報道している。
政府は9日の閣議で、総理大臣の靖国神社への公式参拝について、「宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法の禁じる国の宗教的活動に当たることはない」などとする答弁書を決定しました。
これは、維新の党の井坂信彦衆議院議員が提出した質問主意書に対し答えたものです。
それによりますと、総理大臣の靖国神社への公式参拝について、「もっぱら戦没者の追悼という宗教とは関係ない目的で行うものであり、宗教上の目的によるものでないことが外観上も明らかである場合には、憲法の禁じる国の宗教的活動に当たることはない」としています。
さらに「総理大臣の地位にある者についても、私人として憲法上信教の自由が保障されていることは言うまでもなく、私人の立場で靖国神社に参拝することは憲法との関係で問題を生じることはない」としています。

また、答弁書では、おととし12月の安倍総理大臣の靖国神社参拝について「私人としての立場で行われたものと承知している」としたうえで、今後、安倍総理大臣が靖国神社に参拝するかどうかは、「事柄の性質上、答えることは差し控えたい」としています。
(出所)NHK NewsWeb, 2015-1-15

理屈をこねるようだが、寧ろ「宗教上の目的」によるものであるなら、これほどまで一か所の神社が東アジアの火薬庫になる必然性はなかったのではあるまいか。

現に、戦前の皇国思想につながるかもしれない伊勢神宮に首相が詣でた際も、近隣のアジア諸国は靖国参拝ほどには反発してはいない。まして、政権にある公人が東京の増上寺や京都の南禅寺に参ったからと言って、首相・閣僚が宗教的活動をしていると、どこの誰が非難するだろうか。首相が函館のハリストス教会を訪れたから、キリスト教に不当な共感的態度を示したと抗議する団体があるだろうか。

靖国神社が極端なまでの火薬庫的存在になり下がっているのは、参拝の動機が非宗教的であると解釈されているからであり、参拝が極めて政治的であると判断されているからである。

その意味で上の閣議決定は、理屈は通っているが、間抜けな決定だ。

小生、靖国神社には特段の共感はもたず、行ったこともなく、敢えていえば郷里が旧・幕軍についた町だったので、長州藩士が天下をとってから自軍のために造った神社にはどちらかと言えばネガティブな感覚をもってきた。以前に石橋湛山の靖国廃止論を投稿したのはそれもあってのことだ。とはいえ、靖国神社には太平洋戦争で戦死した親族も祀られているので、できれば平穏かつ静謐な場所であってほしいと思っている。現在のような混迷と騒擾は、魂の安らぎの場としては極めて不適切であり、政治的失敗の象徴そのものだと思う。まして、参拝の動機が宗教的な願いではなく<靖国を利用しようとする>政治家の政治的な動機なのだとすれば、一口に言って許しがたい。ま、そんな風にみているところだ。

それにしても、宗教上、信仰上の動機から天満宮でも八幡宮でも稲荷神社でもない、そしてお寺でも教会でもない「靖国神社」にこそ参るという人はどの位いるのだろう?ちょっと、小生は、疑問なのである。


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