11月までは降るはずの初雪も降らず、気象庁からは以下のような長期予報が出ていた。
気象庁は25日、今冬(12月から来年2月)の3か月間の天候予想を発表した。そうか「暖冬・小雪」の可能性が高いか、そう思いつつ迎えた12月。
東~西日本、沖縄・奄美では、北からの寒気の影響を受けにくい予想だ。このため気温は高めとなり、東・西日本日本海側の降雪量も平年並か少ない見込み。
一方、北日本は平年と同程度に冬型気圧配置が現れて、気温や日本海側の降雪量は、ほぼ平年並の予想だ。
なお、今回の3か月予報には、エルニーニョ現象が発生している可能性が考慮されている。
12月については以下のような予報になっていた。
北日本で冬型気圧配置の強まる日もあるが、東日本以西では寒気の影響が弱く高温傾向。東日本日本海側では、雪や雨の降る日が平年より少ない見込み。(出所)ウェザーマップ、2014年11月25日
また、西日本は低気圧の影響を受けやすく、南から湿った空気が流れ込むため、太平洋側は平年に比べて晴れる日が少ない。
「冬型気圧配置の強まる日もある」というのが16日の記録的な「爆弾低気圧」であったのか……、警報がTV画面に終日表示されたのも初めてのことだ。おかげで地元の小中学校は二日連続で(結果的には不必要だった)臨時休校にしたのだが、それは既に本ブログに投稿した。
それでも北海道全域を平均すると、道南から太平洋岸にかけては小雪傾向だ。道東は周期的な暴風雪。更に、日本海沿岸では積雪記録を更新した地点もある。我が町も3年連続で除排雪費用が増加しているとのことだ。他方、首都圏は降雨・降雪日が多い。気温は確かに高めだ。北海道も明日からは再び5度前後まで気温が上がりそうだ。
結果としては「暖冬」は的中したものの、「降雪量」が平年並み、乃至平年を下回るという予報は外れたと見るべきだろう。低気圧の多発も長期予報ではなにも触れていない、というと言いすぎか。軽く扱っていると言うべきかもしれない。
気温の平均はともかく、そのばらつき(=標準偏差)は路面の凍結にもつながり、暮らしの中では大変重要な側面である。この点の目配りもほとんどなかったと言えるだろう。
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これまで「暖冬小雪」の年はあった。「厳冬大雪」の年もあった。しかし、「暖冬大雪」という年はほとんど覚えておらず、まして「暖冬+大雪+多低気圧」というパターンは初めてだ。
昔、何度も繰り返してみた映画に"South Pacific"(=南太平洋)がある。24、5回は観たろうか。登場する数々の名曲—"One Enchanted Evening"、"Bali Hai"、"A Wonderful Guy"などなど—は今でも愛聴しては気分転換に役立てている。その中に、多分、日本軍のラバウル基地があったニューブリテン島に近い小島に進出した米軍という設定だが、そこの司令官が暴走した部下を叱責するシーンがある。"It's a black, black...black day!"だったかと思うが、あれは面白かった、・・・またDVDを観たくなった。
まったくこの冬は"It's a black, black,... black winter!"なのだな。雪がハラハラと舞い降るホワイト・クリスマスなどとはトンでもない。昨12月24日はロマンのひとかけらもないブラック・クリスマスだった。
一般的に言えることだが、評価される「情報」とは、情報収集にかけたコストや情報自体の精度で評価されるわけではない。その情報を利用することによってもたらされる利便性。つまり経済的価値の増加によって評価される。故に、情報の出し手が情報の価値を決めることはできない。情報の利用者がその情報の価値を決める。何のために情報を求めているのか、その目的が大事なのである、な。
気象学の科学的進歩とグローバルな気象データの蓄積が天気予報の質的向上に寄与しているのは事実である。しかし、そのために費やした費用が、天気予報というサービスの価値向上にそのままつながるわけではない。科学的に間違わないというのは悪いことではない。しかし、どんな情報が有り難いと思うかどうかは、地域・地域で違いがある。荒れ気味の冬は、真に必要な天気予報とは何か。この本筋を思い出させてくれる。
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