最初にボックス・ジェンキンズ流の「予測術」を勉強した時、予測誤差はホワイトノイズであらねばならないし、それ故に推定した結果として残る予測誤差がランダムになっていなければ、モデルを改善する余地がある。そんな発想がどうにもピンと来なかったものである。
何しろ、その頃は大規模マクロ計量経済モデルが「大鑑巨砲主義」よろしく全盛を極めていて、そのマクロモデルを構成する一本一本の構造方程式を立てるにあたっては、残差項のダイナミックな特性、つまりは系列相関をどう想定するかが大きなカギだったのである。
そんな作業プリンシプルに慣れ親しんだ身としては、残差項が予測誤差になるわけであるし、これは当然にホワイトノイズのはずである。そう来られると、思わず「違うでしょう」となったわけだ。
もちろん今では「当たり前のことである」という位には理解ができている。とはいえ、予測誤差、つまりノイズはつまらない一過性の要因に基づくものと決めつけるわけにはいかない。
ドイツのIFOからメールマガジンが届いた。
概要説明は以下のようになっている。
Der ifo Geschäftsklimaindex für die gewerbliche Wirtschaft Deutschlands ist im August auf 108,3 Punkte gestiegen, von 108,0 im Vormonat. Die Zufriedenheit mit der aktuellen Lage hat nochmals deutlich zugenommen. Die Unternehmen äußerten sich jedoch etwas weniger optimistisch mit Blick auf den weiteren Geschäftsverlauf. Die deutsche Wirtschaft bleibt ein Fels in der weltwirtschaftlichen Brandung.(出所)上と同じ
ドイツ経済の回復基調は極めて堅調である。そうみている。但し、8月までの数字では・・・
実は、日本経済についても初夏の時点で景気動向指数の6月速報が内閣府から公表され、特に先行指数が事前予測を上回った数字であったことから、「停滞なるも先行き改善の気配ありで末吉」と書いた記憶がある。
しかしその後、中国株式市場を襲った突然の波乱で日本もパニックとはいかないまでも、秋が深まるにつれて、やはり景気は当面停滞かという状況になってきた。
上のドイツのデータはあくまでも8月時点の判断だ。突然降ってわいたような「VWスキャンダル」がドイツ経済にどの程度までネガティブな影響を与えるかはまだ誰も知らない。
予想もしなかった要因は「ブラックスワン」と呼ばれている。確かにそれはノイズであり、予測誤差をもたらす要因であるのだが、だからと言って一過性の雑音であるとは限らない。
経済の進展にはあらかじめ決まった発展経路がある。そんな(ある意味で)定常的な性質などはないと考えるのが、最近の経済観である。
だとすれば、歴史は経済から決まってくる側面が強く、その経済は白い白鳥ではなく、予想もしない悪役のブラックスワンが決めるということになるので、結局は時折天から舞い降りるブラックスワンが歴史を決めてきた。舞い降りるブラックスワンが多い時代は荒れた時代であり、比較的少ない時代は平穏な時代である。何事もめぐり合わせだネエ・・・そんな風にも言えることになるか・・・・・・。
こんな歴史観は何という名の見方でありましょう?
0 件のコメント:
コメントを投稿