ところが、その直後に上海市場が暴落して、世界的な株価不安が高まり、景気の見方は一変した。
昨日には景気動向指数の8月分速報が内閣府から公表された。NHKでは以下のように解説している ― というか、公表元である内閣府が記者レクでそう説明しているのだと推測される。
ことし8月の景気動向指数は、中国向けの金属工作機械の生産が落ち込んだことなどから、指数は2か月連続で悪化しましたが、内閣府は景気の動向に大きな変化は見られないとして、「足踏みを示している」としたこれまでの基調判断を据え置きました。
(出所)NHK News WEB, 2015-10-07 16:26配信
5月までの数字に基づいた事前予測と、6月から8月までの実際の値を比べると以下のようになる。
黒い実線は本年8月までの実績値、赤い点線が5月までの実績値に基づいた6月以降半年間の事前予測値である。
先行系列では実績が事前予測を大きく下回ったのに対して、一致系列では(弱含みではあるものの)なだらかな低下と予測されていた経路よりはむしろ上振れ気味に推移したことがわかる。このことは、現時点においてさえも、企業経営者の景気観が意外に明るいこととも符合している。
しかしながら、株価や商品市況、長短金利スプレッドなど10以上の経済データを総合した先行系列が継続的に低下すれば、やがて生産・販売にも影響が現れるというのが経験則である。先行系列の急低下は今後の景気を占ううえでの懸念材料になる。
昨日、公表された8月分速報も含めて、今後の国内景気はどう変化していくのだろうか?
あまり良くない。
確かに今夏の世界的な株価波乱は想定外であった。とはいえ、想定外のノイズだったから、世界経済は元の回復軌道に早晩復帰するだろうとは、言えなくなったようである。
足元の景気は決して良い方向には向かっていない。その確率が高くなってきた。ま、株を買うなら良いチャンスがめぐってきそうである。
内閣府の見方は少し甘い。政治的脚色が混じっているのではないか。
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