2015年10月22日木曜日

アメリカの対中ディレンマ状態

先日もふれたが中国市場はアメリカにとっては100年の宿願であり、と同時にこれまでは見果てぬ夢であった。

「門戸開放」を叫びあれほどの犠牲を投じて肩入れした中国であるにもかかわらず、第二次大戦後は共産党に支配され中国は敵対国の側に回ってしまった。中国共産党がアメリカに歩み寄ったのは対ソ関係が悪化した時を待たねばならなかった。中国の危機意識がそこにはあった。

いま再び中国の経済大国化を迎え、加えて米ロ関係が悪化する中で、米中関係が緊張を強いられている。
 オバマ米政権が、中国が南シナ海で埋め立てた人工島から、国際法で領海とされる12カイリ(約22キロ)内に、米軍の艦船または航空機を近く派遣する決断をしたことがわかった。複数の米政府関係筋が明らかにした。自国の領海という中国の主張を認めず、航行の自由を行動で示す狙いがある。派遣の時期や場所などを最終調整しているが、中国政府が反発するのは必至で、中国側の対応次第では米中関係が緊張する可能性がある。(出所)Yahoo!ニュース、(配信元)朝日新聞デジタル、10月22日
 【北京・石原聖】中国軍制服組トップの范長竜・中央軍事委員会副主席は17日、北京で同日始まった安全保障に関する国際フォーラムで講演し、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島での埋め立てや建設について「民間利用が主な目的で航行の自由には影響を及ぼさない」と強調、中国が造成した人工島の12カイリ(約22キロ)内への艦船派遣を検討している米国をけん制した。国営新華社通信(英語版)が伝えた。(出所) Yahoo!ニュース、(配信元)毎日新聞、10月17日21時6分

『民間利用が主目的で自由な航行に影響は及ぼさない』と中国は主張しているようだが、仮に同じ南沙諸島でフィリピンが領有権を主張して、埋め立て工事を進め、そこに灯台を建設したうえで、同じ主張をしても中国は容認しないだろう。その行動には、係争中の土地を先手を打って実効支配しようとする意志が込められているからだ。

なので、これは中国・フィリピンの領有権紛争であって、言語表現とは関係ない。

その紛争に米国が半ば軍事的に関係していこうと言うのだから、紛争当事国が増えることになる。アメリカの観点から対比関係と対中関係を天秤にかけた判断なのだろうが、そもそもアメリカからみたフィリピンは、戦前期に日本海軍への警戒感をもつに至る主因でもあったし、さらに対日関係の悪化を招いてもどうしても死守しなければならないほどの戦略的重みをもっていた。

中国共産党はその辺を甘く見ているのではないか……と。ひょっとすると「21世紀のキューバ危機」になるかもしれない。

アメリカはソ連市場に関心を持ってはいなかったが、中国は元来はアメリカの顧客である、というか最大の顧客であれかしと(アメリカの方は)願っている ― その管理拠点を設営する適当な土地を日本は賃貸しして生活水準を維持するのだろうが。

米中100年のすれ違いはまだまだ続くのか・・・

いずれにしてもアメリカの拙劣な(?)外交戦略の一つの帰結である。



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