2019年1月20日日曜日

「小農も支えてこそ」は逆噴射?

日常かかせない食料品は安い方がよいに決まっている。その方が家計にとって楽だからである。その食料品が海外産であり、安価な輸入品をいま買うことによって国内業者の売り上げがその分落ちることは理屈として分かっている人ですら、同じ食材であれば安い商品の方を買うであろう。

"Buy Japanese"には自然と限界があるのである。日本にとっての合理性より前に、一人一人にはその人の合理性がある。

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TPP11の初の閣僚会合が開催されたからか、本日の道新には標題に記したタイトルのコラム記事が掲載されている。

その主旨は
過渡な農産物の市場開放や「強い農業」とのふるい分けは弱者切り捨てにつながる。
という事にある。

更に
小規模農家は穀物や野菜などを幅広く手掛ける傾向が強い。結果的に私たちの食卓を豊かにする。日本らしい景観とされる棚田のような農地も「小農」が支えているところが多いはずだ。
という点も要点の一つだろう。

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しかし、一方で暮らしを楽にする政策を求めながら、他方で非効率的な農業を大事にせよ、そのための財政措置を検討せよと考えるのは、まあ一種の「逆噴射」である。非効率な国営企業を国益の名の下に断固保護し続ける政策を止めようとしない中国と同じである。

日本のため、国のため、伝統のため、文化のため・・・、小生はこれらの表現の全てにいかがわしさを感じる。

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たとえ安い米が市場を席巻するとしても、高くても手間を惜しまず育てた日本のコメを食べたいと思う日本人は必ずいるはずである。唐木順三が言うように、まるで園芸のように栽培した野菜を食卓に並べたい人もいる、そんな食材のみを使う料理屋は今後も高く評価されるに違いない。

淘汰されるのは求められている食材を育てようとせず、コスト的に勝てるはずのない外国産農産物と同じレベルの商品を作り続けようとする小農だけである。

市場メカニズムとは正にこういう作用のことをいう。

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