2019年1月22日火曜日

乱暴な一言: 日本の研究力復活の切り札は?

国立大学が法人化され、しかも運営費交付金が減額傾向にあることから国際的に通用する日本発の学術論文がめっきりと減ってきたという点はもう何度も指摘されている。

研究を支える若手研究者の絶対的人数が減ってきていることを考慮すると、海外留学の絶対数や論文の絶対数が減少するとしても自然ではないかという指摘はあるが、国内の若手研究者が減るなら、海外から優秀な若手研究者を招聘すれば国内研究機関の研究力は低下しないはずである。そうした面も含めて国内の大学の研究力が落ちてきているとすれば、確かに30年後の日本の科学技術水準はお先真っ暗だろう。

カネがないから、というに尽きるのかもしれない。

が、切り札はある。

現在、教育資金贈与非課税の制度がある。祖父母から孫の教育費に贈与する場合の優遇措置である。それがなくとも、富裕世帯の若年層はスタート地点から既に恵まれているという機会の不平等が指摘されている。

自分の孫に教育費を渡すよりも、優秀な教育研究機関で努力する若年層に手渡すほうが確かに社会的にはカネが生きることになるだろう。もし自分の孫が能力面において劣位にあるとすれば、むしろ優位にある他の若者に資金を活用してもらう方が、外ならぬ孫が助かるわけである。もしも孫が優れた才能を有していれば、一流の大学に進学した時点で大学に流入する研究資金の恩恵をうけることが出来る理屈だ。

相続税と親族間贈与税の非課税措置を大幅に縮小する一方で、国内の教育・研究機関への寄付行為については大幅に非課税措置を拡大すれば、確実に研究資金は増えるはずである。大学が寄付者に対して感謝し、その善行を称えるためのモニュメントを建てるなら猶更のことである。孫の世代は自分の祖父母の善行の記念碑を見て名誉を感じるだろう。

かつ高年齢層から若年層への資金移転を促すことから社会保障による世代間不平等を修正し、また資産分配の格差拡大を矯正する一助にもなるので<一石三鳥>となる。

マア、"theoretically correct, but politically wrong"のそしりは免れないだろうが…。

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