2025年2月22日土曜日

ホンノ一言: ニューヨーク・ダウ株価が暴落したってネエ・・・

昨日のニューヨーク・ダウ平均が▲748.63ドルと大幅に下落したというので、俄かに先行き不安が高まっている……。少なくともそんな報道である。

今朝の日経も

21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比748ドル(2%)安の4万3428ドルで終えた。下げ幅は2024年12月中旬以来、約2カ月ぶりの大きさとなった。同日発表の米景気指標が想定以上に悪化し、リスク回避の株売りと安全資産とされる米国債への買いが広がった。米金利の低下で日米金利差の縮小が意識され、円買い・ドル売りも加速した。

Source:日本経済新聞

Date:2025年2月22日 5:29 (2025年2月22日 6:29更新)

URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL21E710R20C25A2000000/

このように

米景気指標が想定以上に悪化

これが株価下落の背景だという。

いわゆる《万年悲観派》は、『株は必ず下がるもの』と信じ込んでいるので、株には手を出さない ― その代わりに、宝くじを買ったり、趣味の競馬で馬券を買ったり、釣り道具にカネをかけたりする。そうしたタイプの御仁は「それ見た事か」と思っているかもしれない。

ただネエ・・・

先行指標として小生が愛用している長短金利スプレッドは



URL: https://shigeru-nishiyama.shinyapps.io/us_main_economic_indicators/

このように長期金利上昇によってスプレッドが上がっているが、しかし、そもそもずっと短期高・長期安の逆イールドが続いて来ていた。逆イールドは金融引き締め、景気後退の典型的症状だ。それが長期高・短期安の順イールドに転じてきている。これを悲観的に観なければならない理由を小生は知らない。

実際、アメリカの雇用状況だが「非農業雇用者数の対前月増加数」でみると


URL: 上図と同じ

ずっと継続していた低下トレンドから横ばい、反転と、足元では強めの動きが見てとれる。図は省略するが、失業率も昨年夏以降は、それまでの上昇トレンドが頭打ちに、昨年末からは明確な低下へと基調が変わってきている。

長短金利スプレッドという先行指標は強め、雇用動向という遅行指標も改善への動きを示している。
これで何故に先行き悲観的になるのでしょう?
そう見ています。

実際、アメリカの景気判断の老舗であるThe Conference BoardのLeading Economic Indexが1月分まで公表されているが、
“The US LEI declined in January, reversing most of the gains from the previous two months,” said Justyna Zabinska-La Monica, Senior Manager, Business Cycle Indicators, at The Conference Board. “Consumers’ assessments of future business conditions turned more pessimistic in January, which—alongside fewer weekly hours worked in manufacturing—drove the monthly decline. However, manufacturing orders have almost stabilized after weighing heavily on the Index since 2022, and the yield spread contributed positively for the first time since November 2022. Overall, just four of the LEI’s 10 components were negative in January. In addition, the LEI’s six-month and annual growth rates continued to trend upward, signaling milder obstacles to US economic activity ahead. We currently forecast that real GDP for the US will expand by 2.3% in 2025, with stronger growth in the first half of the year.”

Source:The Conference Board

Updated: Thursday, February 20, 2025 

URL:https://www.conference-board.org/topics/us-leading-indicators

このように解説されている。Google翻訳にかければ
「米国のLEIは1月に下落し、過去2か月間の上昇のほとんどを反転しました」と、コンファレンス・ボードのビジネスサイクル指標担当シニアマネージャー、ジャスティナ・ザビンスカ・ラモニカ氏は述べています。「消費者の将来のビジネス状況に対する評価は1月に悲観的になり、これが製造業の週労働時間の減少と相まって、月次の下落を牽引しました。しかし、2022年以降指数に大きく影響していた製造業の受注はほぼ安定しており、利回り格差は2022年11月以来初めてプラスに寄与しました。全体として、1月のLEIの10の構成要素のうちマイナスだったのはわずか4つでした。さらに、LEIの6か月および年間の成長率は引き続き上昇傾向にあり、今後の米国経済活動に対する障害が軽微になることを示唆しています。現在、米国の実質GDPは2025年に2.3%拡大し、上半期の成長率はより高くなると予測しています。」
和文として少々不自然な箇所もあるが、Googleによる英文和訳の信頼性は高いと評価できる。

要するに、先行きについては強気にみているようだ。

アメリカの国債市場で売りが殺到(→長期金利上昇)して、みな吃驚したというのが実相ではないか。 ← この箇所、勘違いです。以下書き直します。

引用した日経記事にあるように、市場参加者は
リスク回避の株売りと安全資産とされる米国債への買いが広がった。米金利の低下で日米金利差の縮小が意識され、円買い・ドル売りも加速した。
こんな風に行動したようだ。

しかし、上にみたように、景気の先行きについてリスクが高まっている景況ではない。『日米金利差縮小を意識して円買い・ドル売り』とな?ふ~~む、何か吃驚して狼狽している感じだネエ……


戦争に熱心だったバイデン前大統領のあと、トランプ現大統領も家計、企業向けに大規模な減税政策を予定しており、財政赤字拡大・国債増発・長期金利上昇がトレンドとなるであろうことは、既に予想済みである。

景気は良くなるが、金利は上がる ― おそらく物価も。

アメリカ経済のこんな歩みの中の一コマであるのだろう。そう観ています。


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