ずっと以前、イギリスは「世界の歴史の黒子役」と形容したことがある(例えば、これやこれ)が、今回の米国・ホワイトハウスを舞台にした悲劇というか、喜劇というか、これについて、英誌・The Economistは、
これは"manufactured fight"(=仕組まれた戦い)だった
と観ているようで、早速こんな風に概括している:
Even deputies from Mr Zelensky’s inner circle agreed that it had been a disaster. Some reasoned the president had been tired, three years into war and a long transatlantic flight. He had been provoked into a manufactured fight. “J.D. was the problem,” said one of them. “Zelensky had to show strength to be credible for negotiations, but the emotions were too much.” A senior Ukrainian security source said Mr Vance seemed to be pleased that the negotiations never even happened. “As a wrecker, Vance had been well prepared,” he says. “He did his thing professionally.”
At the end of the shouting match, Mr Trump quipped, “This is gonna be great television.” The president of Ukraine scowled as he sat with his hands clasped. Mr Vance smirked. His work was done.
Source: The Economist
Date: Feb 28th 2025
URL: https://www.economist.com/europe/2025/02/28/a-disaster-in-the-white-house-for-volodymyr-zelensky-and-for-ukraine
ウクライナのゼ大統領、英国人の目には『仕組まれた戦い』(=manufactured fight)に絡めとられたと映ったようだ。
マ、罠に落ちたと云う方が分かりやすい。
終わった時、副大統領はニヤリと笑い、ゼ大統領は顔をしかめた。彼は仕事をした、と。
中国人なら「欺計」とでも呼ぶようなプランである ― 目的は当然のこと「ゼ大統領の排除」であるのは明白で、欧州側の思惑とは別に、アメリカはとっくにそう決めて、準備万端、練っていたのだろう。TVを観ていたヨーロッパ首脳にはアメリカ側の意図が伝わったはずである。
その後の英首相との協議、英国王との謁見はイギリスの仕事である ― 多分、マクロン仏大統領はどんな役を演じるのか、イギリスが(アメリカと裏で相談しながら?)決めるのだろうと憶測している。古来、イギリスの「二枚舌」(?)には定評がある。
グレアム・グリーンやイアン・フレミング、ジョン・ル・カレを生んだ国民性は伊達じゃあない。
思うことは、一つ。
国の運命をこうして外国の胸先三寸で決めるなんてことは、情けなくて、情けなくて、金輪際、いやだネエ・・・ということだ。
戊辰戦争勃発のとき、徳川慶喜がフランスの支援申し出を断ったというエピソードは、この日本を救う大英断であった。改めてそう思います。
念のため、引用した英文にGoogle翻訳がつけた和訳をコピーしておく:
===
ゼレンスキー氏の側近の議員たちも、これは大惨事だったと認めた。大統領は戦争が始まって3年、大西洋を横断する長い飛行で疲れていたと推論する者もいた。大統領は挑発されて仕組まれた戦いに巻き込まれたのだ。「問題はJ.D.だった」と議員の1人は語った。「ゼレンスキー氏は交渉で信頼を得るために強さを見せなければならなかったが、感情が勝りすぎた」。ウクライナの安全保障当局の高官は、交渉がそもそも行われなかったことにヴァンス氏は満足しているようだと語った。「破壊者として、ヴァンス氏は十分に準備していた」と同氏は言う。「彼はプロとして自分の仕事をした」。
口論の末、トランプ氏は「これは素晴らしいテレビになるだろう」と皮肉った。ウクライナ大統領は顔をしかめ、両手を握りしめて座った。ヴァンス氏はニヤリと笑った。彼の仕事は終わった。
===
いつも思うのだが、海外のメディアが日本に参入する際の《言葉の壁》はもはやない。
Amazon Primeの会員数が日本で増加中であるのと同じく、アメリカの"The New York Times"や"Washington Post"、イギリスの"The Telegraph"や"The Guardian"をネットで購読する日本人もこれから飛躍的に伸びていくのではないかと想像している。
とにかく海外メディアは低価格で高品質の情報を提供しているのが強みである。
AIの進化速度と放送技術の進歩を考えると、10年後には、紙媒体のメディアだけではなく、音声媒体である(先ずは)ネット動画でも「言葉の壁」が消失している可能性は高い。国内のTV、ラジオは、世界のメディアとの競争を迫られるだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿