そんなわけで本日は、最近の脱原発をめぐって、メモっておいた資料を簡単に並べておいた。
広島市長、首相発言「脱原発」を批判(中国新聞8月10日付け)
確かに、正式に閣議決定され国会でも決議された政府方針であるのであれば許されもしようが、世界が注視する広島原爆記念日の式典において首相が話す公式の演説としては極めて不適切。顰蹙をかうのは無理もない。
東京電力、経済産業省、経団連を、最近<TKK>と呼んでいることは初めて耳にした。小生自身は<財界本流>という言葉を愛用しているし、上の三者を指す時は単に戦後日本エスタブリッシュメント層と言っている。
でもまあ、「とにかく、あいつら駄目だよな」という思考は世に広まりやすい。既得権益の形成と固定化、拡大が社会の癌だとすれば、分かりやすい一過性の激論は発熱のようなものだ。抑える一方ではいけないが、放置すると社会が損壊を被るだろう。
それにしても「60年安保」とは懐かしいですなあ。幕末ならば「攘夷」が時の流行思想であったろう。戦時中なら「鬼畜米英」かなあ。亡くなった両親がよく想い出話しに口にしていました。あれは、政府が一番熱心に指導していたようです。普通の人は、リプトン紅茶はもう買えないわねえとか、クラシック音楽はダメなのかなあとか、お上のいうことだから・・・位の態度であった由。ま、何にしても、頭に血がのぼっては家族ですら相談は成り立たないってものだ。大事な話はできぬ。
脱原発を唱えている人にとっては自然エネルギーの拡大が是ということになる。しかし、審議中の再エネ法案に関しては次のような指摘もある。
本日付けの北海道新聞によれば、北海道電力は風力発電による電力買取りをこれ以上増やすつもりはないとのこと。既に買取限度一杯まで買っているからであり、この措置は再エネ法案でも認められている例外規定に基づく。故に、風力発電の潜在的能力は大きいものの、北海道で新規参入事業者が現れる可能性は小さい。
報道によれば脱原発依存を支持する世論は、このところ頭打ちになっているとのこと。とはいえ、化石燃料依存を強めるのは、経済的な脆弱性を高めることになる。
覚えているだろうか?リーマン危機後の底打ちから何とかやってきて既に2年。今年の春先にかけて石油価格が非常に高くなってきた。最近の先進国の景気後退の前には<石油価格上昇>が必ず起こっている。投機だけではない。新興国も含めて景気拡大は石油価格の上昇プレッシャを生みだし、それがバブルとなって、世界経済を混乱させる。こんなパターンを既に何度も繰り返しているのである。
A Weakening Economy (econbrowser)
石油依存はもう限界である。
そこでシェールガス革命が進む液化天然ガス(LNG)が、自然エネルギー効率化までをつなぐ有望なエネルギー源として注目されるようになった。しかし、中東一極集中よりはましかもしれないが、国際的な価格支配力はどうなっているだろう?
玄葉国家戦略相は分散立地型の小型新鋭原子炉を有力な選択肢として考え始めた様子だ。Wall Street Journalが先に報道していたが、日本の新聞でもとりあげられていた。
TOKYO—The Japanese government's minister in charge of national strategy said a new generation of smaller nuclear reactors might be the answer for a country traumatized by the March Fukushima Daiichi crisis, at a time when much of the nation is looking toward a nuclear-free future.
<< WSJ, 2011 August 12日立、東芝などの原子力メーカーは、輸出を想定して小型原子炉を開発してきたらしいが、今後は日本での販売も想定しながら新製品を開発していくとのことだ。それでも製品化されるには、10年程度は必要で、やはり当面の脱原発依存は中々難しい。福島県は<脱原発>を県の復興計画で宣言するようだし、廃炉になる第一はもちろん、第二も再稼働は不可能だろう。となると、新潟県も福島に右へ倣えするのではあるまいか?それを霞が関が抑えるのは、もう無理ではないか?というより、中央官庁が東京を捨てて、全国分散設置を目指すかも知れません・・・
そんな中で、製造業の海外移転は加速する見通しだ。
トヨタ、HV基幹部品の生産を海外へ
具体的に、何を一次エネルギーとして活用していくかは、これから審議される「新エネルギー基本計画」いかんによるのだが、ただ一つ、電気料金は上がる。これだけは、ほぼ確実に決まっている。秋口の台風予測ではないが「確率95%で電力料金はアップする」。これだけは言えると思うし、だとすれば日本人のライフスタイルは頼まれずとも自ら変えていくしかないだろう。
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