いまNHKでは『復興サポート』と題打って、福島県内事情を紹介している。それを見ながらカミさんと話した。
小生: それにしても東京電力の失敗は巨大な失敗だったねえ。取り返しはつかないけどな。
カミさん: ほんと、そうだよねえ。福島県の人たち、元に戻れるの?
小生: 戻れない人が多いよ。だけど、その見通しをいま話すことなんてできんやろ?
カミさん: それにしては、東電は一生懸命力をつくしているって感じじゃないよね。見てて、腹が立つよ。
小生: 何をするにもカネがいるんだよ。儲かっていればジャンジャン進められるんだけど、原発を停められて、損失を出しながらだからサ、ちょっとずつだよ。あんまりやるとカネが回らなくなって会社がつぶれちゃうからね。
カミさん: 福島県の人たち、おとなしいねえ。
小生: 茨城県や千葉県だったら、こうはいかないよ。成田闘争なんてすごかったんだから。
カミさん: 東京の人たちが使う電力を福島県で作ってたんだねえ。
小生: 東電が持っている原発施設は新潟、福島、それに青森。全部、東京圏の外だよ。こんな電力会社はないんだよね。それだけ国と一体になって、すごい力を持っていたわけさ。もし事故を起こした会社が北海道電力とか、四国電力だったら、国はアッサリつぶしているよ。
カミさん: 電力会社をつぶしたら困るじゃない。
小生: つぶして損害賠償に専念するんだよ。つまり、会社が持っている発電施設や送電線なんかを、全部安値で売ってカネにかえるんだよ。電力会社は裸になるけど、カネができるだろ。そのカネを損害賠償の基金にするのさ。まあ『東京電力福島第一原発事故損害補償会社』だけが残って、あとは賠償事務の処理をしていくだけ。その会社に最後に残る人は悲惨だろうけどね。で、発電施設、送電施設を安く買った新しい会社が電力事業をやっていくんだよ。断固としてやろうと思ったら、できんわけじゃないし、こうやれば責任の所在もはっきりして、みんな納得すると思うよ。というか、北海道とか、四国とか、東京が関係してなかったら、政府はとっくにこうしていたんじゃないのかなあ?北海道のメインバンクだった拓銀もあっさりつぶしたしね。そうできないのは、東電が崩壊した時に困るのは、政府のある東京だからだよ。京都辺りに首都を遷しておくほうが、まっとうなやり方が実行できるのかもしれないねえ・・・
そういえば東京遷都について正式な詔はなかったはずであるが、どうだったろう。小生は専門家ではないのだが。
月岡芳年、六郷の渡しを渡る明治天皇の行列、1868年
(出所)http://www.photo-make.jp/hm_2/ma_16_6.html
東京江戸品川高輪風景 歌川国輝(二代)画 慶応4年(1868)8月
(出所)http://www.photo-make.jp/hm_2/ma_19.html#
江戸は、当初、首都になるはずではなかった。大久保利通は大阪を考えていたのだが、江戸に都を遷すべきであるという投書 –投書の主は前島密であったという– があり、今日の東京が生まれるに至った。この話しも既に有名になったが、当時の情景と人々の胸の内は、日経朝刊に連載されていた『黒書院の六兵衛』の終盤で六兵衛と明治天皇が対面する場にも再現されていたように思う。天皇東行の狙いとしては空き家になった大名屋敷を官庁に転用できる他にも、数年かかるかもしれなかった会津戦争、東北戦争の戦争指揮も念頭にあったに違いなく、その意味では戦時の臨時行在所でもあった。それが東京であったのに違いなく、以後、明治・大正・昭和・平成と天皇が東京に常住する意志は、そもそも最初からなかった。そう言えるのではないだろうか。だとすれば、いまもなお東京が首都であり続ける理由は『そう決めた』からではなく、実に日本的な成り行きである。そうとも言えるだろう。
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