その中で面白い報道をみつけた。
【ソウル聯合ニュース】韓国の国民の7割以上が、日本を韓国の同盟国ではないと考えているとの世論調査結果が明らかになった。(出所)聯合ニュース、2013年10月15日
韓国国会国防委員会の所属議員が14日、調査会社ユニオンリサーチに依頼した「国防懸案関連の世論調査」の結果を公表した。それによると、「日本は韓国の同盟国か」との質問に、72.2%が「同盟国ではない」と答えた。また、日本の集団的自衛権に対する韓国政府の対応について、75.5%が「日本の軍事力はアジアの平和を壊すため、反対すべき」と答えた。
年齢別にみると、50代では「同盟国ではない」が77.2%、「集団的自衛権に反対すべき」が80.0%を占めた。一方、20代では「同盟国ではない」が61.8%、「集団的自衛権に反対すべき」が67.0%だった。
支持政党別では、保守与党セヌリ党の支持者の75.7%、最大与党・民主党の支持者の79.6%が「日本は同盟国ではない」と答えた。
そもそも日韓関係については、1965年に締結されたいわゆる「日韓基本条約」とそれに付随して結ばれている協定や交換公文があるのみであって、日米安全保障条約に該当するような軍事同盟の関係はない。だから、韓国人を対象に「日本は韓国の同盟国か」と質問すれば、正しい知識を有している限り、「同盟国ではない」と回答するのは当たり前のことである。むしろ100%の人が「同盟国ではない」と答えなかったことこそ、おかしなことだ。
日韓が共同利益を求める同盟国の関係にはない以上、日本の軍事力増強は韓国にとってはアグレッシブであり、タフ・コミットメントとなるのも、これまた当然のロジックであって、100%の回答者が日本の軍事力はアジアの脅威になるので反対すると答えなかったことこそ奇妙である。
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韓国と同盟関係にあるのは、アメリカであって日本ではない。また中国でもない。韓国には、中国との協調に転じるか、日本との協調を強化するか、もしくは両方を追求するか、あるいはまたそれ以外の戦略をとるか、いろいろな選択肢がある。朴新政権は、対中親和策にコミットしているように見えるが、中国にはそうした韓国の政策方針を忌避するべき理由はないだろう。しかし、アメリカもまた韓国に同調、または結託する戦略的な補完関係があるかといえば、それは即断できない。そうなれば、日本もまた同調せざるを得ないだろうが、その場合には日米同盟関係が日本にとってコストに見合うものかどうか、必要かどうかという議論が日本の方に生まれるかもしれない。そうなれば各国が共同利益を最大にするような新たな結託関係を求め始めるだろう。仮にそうなっても、価値観の共有が経済的利害関係以上に国家的意思決定において重要であることは、古代ギリシアのペロポネソス戦争以来の真理である。だとすれば、アメリカの利益がその新しい構造において現在以上に拡大されるとはとうてい予測できず、真の意味でアメリカが共産党支配下にある中国と協調できるとは思えない以上、アメリカは戦後レジームを維持し、大きな変化を回避する誘因をもつ・・・
とまあ、こういう"If ... then ..."式のシナリオ・バンドリングは、やれば確かに面白いのだが、所詮は、「国家」がプレーヤーだから、その点はまったく抽象的なのだ。それでも自国の利益を考えて議論するならまだ意味はある。しかし、韓国の通信社が上に引用したような記事を日本語で(日本人向けに、だろう)提供する……、こうすることは、一体、どのような韓国人に、どのような利益があるのだろう?そこが、小生、さっぱり分からないのだ、な。通信社だから、つまりは事実の報道に徹して、多数の言語で「こういう結果になりました」と情報を提供しているだけなのだろうか。それなら、英語版を出しておけばそれで十分だと思うのだ。あるいは狙いは全く別で広告収入拡大策なのか。
どうも聯合通信社の意図が分からぬ。
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