4日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時前日比で500円近く下落し1万4200円台を割り込んだ。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した1月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったのを受け、前日の米株式相場が大幅に下落したことが背景。新興国経済の先行き警戒感が強く、投資家が運用リスクを避ける動きも目立つ。1月の米雇用統計など重要指標の発表を控え、日本株の動きは今後どうなるのか。…(以下、コメンテーターの意見)(出所)日本経済新聞、2月4日
…発表が本格化している日本企業の決算内容は、長期的な円安・ドル高基調を背景に、おおむね好調だ。日経平均は前日時点で25日移動平均を6%超下回っている。仮に1万3000円台まで下がれば、値ごろ感からの買い戻しが入るだろう。最近の米経済指標の悪化も寒波による一時的な現象とみており、日経平均が1万2000円台に下落することはないと考えている。
昨年は年末まで上げに上げた感がある。その反動が年明け後に出ている感じもする。アメリカFRB議長がイェレン新議長に交替したばかりである。前職のバーナンキ議長も就任してから暫くは市場の荒々しい反応に振り回されていた記憶がある。小生は時に閉口して「バーナンキ暴落」と悪口をたたいたものだ。しかし、その前のマエストロ・グリーンスパンも就任直後はブラックマンデーの洗礼を受けているから、金融市場の安定・不安定には相当な程度ヒューマン・ファクターがあるのではないかと推察している。
実際、日本だけの経済状況をみると、総じて経済指標に心配な兆候はない。例によって、景気動向指標の先行・一致・遅行指数を見るのが簡潔だ。
上から先行指数、一致指数、遅行指数のグラフである。最近の大きな落ち込みは2008年秋から2009年春にかけてのリーマン危機であるが、先行指数はそれよりずっと前の2007年後半から下降トレンドに入っていたわけである。そのような意味で変調な動きは、足元では見られていない。
経済の実態は極めて順調である。
ただしかし、先日、将来予測の授業中にこれら3系列のデータをVARで予測したところ、年明け以降は低下に転じるとの計算結果を得たことがあった。上の図をみると、明らかに共和分が存在するので、VAR分析は不適切である。授業では、問題点を含んでいるVAR分析より、ここでは一つずつ切り分けたARIMA分析の結果を信頼することにしましょうと話しておいた。下がその図だ。予測対象は景気の現状を伝える一致指数である。
アメリカの経済シンクタンク"The Conference Board"からは日本の景気動向指数と同様のデータを公表している。直近のPress Releaseは以下のようだ。
The Conference Board Leading Economic Index® (LEI) for the U.S. increased 0.1 percent in December to 99.4 (2004 = 100), following a 1.0 percent increase in November, and a 0.1 percent increase in October.
“Despite month-to-month volatility in the final quarter of 2013, the U.S. LEI continues to point to gradually strengthening economic conditions through early 2014,” said Ataman Ozyildirim, Economist at The Conference Board. “The LEI was lifted by its financial components in December, but consumer expectations for business conditions and residential construction continue to pose risks.”
“This latest report suggests steady growth this spring, but some uncertainties remain,” said Ken Goldstein, Economist at The Conference Board. “Business caution and concern about unresolved federal budget battles persist, but the better-than-expected holiday season might point to sustained stronger demand and could put the U.S on a faster growth track for 2014.”Source: The Conference Board, Global Business Cycle Indicators
コマーシャルではないが「もっと良くなる、ずっと良くなる」という見通しである。確かに新興国の資金繰りが心配されてはいるが、世界の株式市場で不安心理が共振運動を起こしている面もある。いずれ単なる不安であることがわかり、市場はノーマルな状態に復帰すると予想する。
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