マクロといってもマクロ経済学を解説しようとすれば通年4単位でも説明しきれない部分が多々残る。まして二コマ3時間で話すことができるなど、断片のそのまた断片的な部分でしかない。なので、まずはマクロ統計の見方、GDPの意味するところあたりが要点になるのは仕方がない。ま、顧客や利益、戦略について議論をするうえでの経営環境といった位置づけである。
そのGDP統計だが、話してみて<実感>したのだが、いまほどGDP統計をめぐって話題性がある時期は今後ないかもしれない。
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『あなたが、近々、新規事業をたちあげようと思っているとして、今年の初めに一番気になっていた点は何だったでしょう?』
『それは、消費税率を5%から8%に引き上げる影響です』
『そうですね。消費税率をあげると、収入が同じという前提にたつと、より多くの消費税を払いますから必ず消費者は消費を減らす。景気にはマイナスになります。しかし、消費税率を上げることこそ、日本経済にはプラスなんだ。そういう意見もあるのですね。だからこそ上げる。それが理屈でしょう。』
『その辺はどうなると予測されているんですか?』
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今年2月時点の日経短期予測は以下のようになっていた。
(出所)日本経済新聞、2014年2月28日
税率引き上げ直前の1~3月期に実質季調済前期比でプラス1.1パーセント、その後の4~6月期でマイナス1.2パーセントの反動減となる。そんな予測になっていた。
実際には、こうなった。
(出所)内閣府
8月の二次速報では、1~3月期にプラス1.5パーセント、4~6月期にマイナス1.8パーセントのかなりな落ち込みになった。駆け込みが予想以上であり、落ち込みも予想を超えた。そういえばいいのだが、昨年からずっと前期比を図にかいてみると、段々下がっている。アベノミクスの勢いもここまでかと思わせる形になっているのも事実だ。悲観論はこの辺から出ているのだろう。
一方、毎月出る景気動向指数をみると、明るい兆候もある。
(出所)内閣府
データは7月までの数字だが、先行指数が反転回復している。いずれ一致指数の回復につながる動きである。ただ、異常気象の影響で8月-そして9月も?-の経済活動は相当のマイナスの影響を受けたかもしれない。とすると、上に見る先行指数の上昇は、実際の景気回復としては現れないかもしれない。
気がかりである。ただ今年の前半によく言われたアベノミクスの限界。それは数字からも確かめられていたことなのだな。
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やはり4~6月期の相当の落ち込みが十分回復しないまま、秋を迎えているのではないか。そんな気はする。
7~9月期のGDP速報は、一次速報が11月17日、二次速報が12月8日に予定されている。一次速報から二次速報にかけて相当大きな修正があることもある。
安倍内閣は7~9月期のGDP速報をみて、消費税率の2回目の引き上げ(8%→10%)を最終判断しようと考えているようだ。
一部の国のように統計データ作成に政治的圧力が(直接)かかることはないが、それでも統計作成部局が感じるプレッシャーは相当なものだろう。
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