2017年6月19日月曜日

「支持率」の信頼性と意味

最近の時代の流れもあって小生の勤務先でも毎学期の全授業について授業評価アンケート調査が実施されている。

実施時期は、コース終了後であるから、毎回の授業が良かったか、悪かったかではなく、授業全体を通して個別項目ごとに数値で評価してもらう(もちろん数値といっても順序尺度である)。自由記述欄も設けてある。

それでも回答全体の平均値をとると、なぜこのような評価になるのかが理解しがたいようなことは、意外と多いというのが雑駁な印象であるーもちろん、だから役に立たないというわけではない。数も言葉も使いようということだ。


ところで、安倍現内閣の支持率が急落したとメディア各社が報道している。どこでもサンプル数は千何百人というところだ。回答率は50%程度のところが多いようだ。回答率はまあまあだと思う。さて、もし全サンプルから直ちに回答が得られているとすると、標準誤差は1.4%程度、最大誤差を真値の両側2シグマ区間まで見込むとサンプルの結果が得られる区間の幅は大体5.6%となる。

故に、ほぼ同時点に実施された支持率調査の結果がメディア各社で10パーセント以上も違うという結果には(まず絶対に)なりえない。

しかし、たとえば毎日新聞の調査結果は36%であり、読売新聞が49%、日本経済新聞が49%、朝日新聞が41%という結果になっている。

同じ母集団を対象にしたアンケート調査が、これほど大きな食い違いを示すことは統計上の数理では説明できないことである。


メディア各社と調査結果との組み合わせをみると、現政権に批判的な新聞社が実施した支持率推定値は低く、現政権に近い側の会社の結果は高くなっている。

おそらく「数字をなめている(=捏造している)」ということはないのだろう(と小生は推測している)。

ランダムに抽出した電話調査(=購読者限定ではないと思うが)だと説明されているが、多分、その新聞社に対して好感を持っていない人は回答を拒否する傾向があるのではないだろうか。だとすれば、その新聞社と立場の近い人の意見がより多く反映されるのは当たり前である。

日本の新聞社は社会における中立的な言論機関という役割を失いつつあることの証左であるわけで、この話題もそのうちとりあげたいと思うのだが、それは後に回すとして、どうやら「世論調査」とはいえ、マスメディア各社が実施している調査結果は客観性を持っていないと考えるべきだ。この点はいま確認してもよい。


ただどの調査でも共通しているのは、現政権の支持率が足元で急落しているという事実だ。たとえば日経調査で示された不支持の理由は「政府や党の運営の仕方が悪い」がトップで、この選択肢を選ぶ人が前回3月時点より8%も増えているそうだ。

何だか毎回の授業で『今日の授業は良かったですか?』というアンケートをしているようで身につまされる。

でもまあ、この2ヶ月余り、政府の運営、国会の運営は何を審議しているかという中身以前の問題として、実に「最低」であった。

だから、この2ヶ月の現政権は「良かったですか?悪かったですか?」と聞かれれば、小生も「非常に悪かった」と回答するだろう。とすれば、「不支持」になるのですかね?ま、いいでしょう。「不支持」だ。

とはいえ、だから現政権は総辞職するべきであって、民進党内閣に政治を委ねるべきだとは、小生、考えてはいない。

「世論調査」とは何を調べたいのでござんしょう。聞いてみたいものでござんす。

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