2017年12月15日金曜日

ビットコイン: 「根拠なき熱狂」が「愚かな熱狂」になるのでは?

先日、大学の同窓会(らしきもの)が小生が暮らす町の一隅であった。どの参加者も大学に縁があり、社会科学を専攻している人である。となれば、談論風発する中で必ず話題になるのはカネの話である。

英株が課税上有利なこと、米株や仏株に比べて英株は投資する側から見ると、実にありがたく、売買しやすいということを話した。

『ビットコインはどうですか?』、『今はダメ、ダメ!!』という話もした。大体、上がっているから買おうなどというのは、買う側の論理として最初から破綻しているのだ、な。ま、小生だってこの点では手ひどく失敗をしたことがあるのだが。

こんな報道がある。
麻薬ディーラーでも脱税者でもない、そこにいるのはミセス・ワタナベだ。ドイツ証券は14日のリポートで、仮想通貨ビットコインの急騰の裏に日本の個人投資家の存在があると指摘した。

  村木正雄氏らドイツ証のアナリストは、個人投資家がレバレッジを効かせた外国為替証拠金取引から仮想通貨取引にシフトしているとの見方を示した。同証によると、日本は世界の外国為替証拠金取引の約5割を占める。日本経済新聞によれば、10-11月は世界のビットコイン取引の4割が円建てだった。
 ビットコインの価格は年初から16倍余り急騰しているため、値下がりが始まれば、個人投資家主導の熱狂は好ましくない結末を迎える可能性があるともドイツ証は指摘。日中のボラティリティーが大きいため、証拠金を超える損失が発生するリスクが一般的な外為取引よりも高いと説明している。また、仮想通貨を巡る投機は無視できない規模に拡大しているため、バブルが破裂した場合の市場への潜在的打撃や、そうした懸念が規制や金融政策に与える影響をより深く調べるとした。

(出所)Bloomberg, 2017-12-15, 9:02配信

ニューズウィーク誌、その他の媒体でも、この何日かこの話題がとり上げられている。
(前略)
金融庁の関係者は「急激に上昇したかと思えば急落があったり、値動きが激しく価格を注視している。仮想通貨取引所には顧客に対してビットコインの値動きが荒く、思わぬ損失を被るリスクがあることなど情報提供を徹底するよう求めている」と話す。 
チャート的には、1970年代後半の金価格の急上昇に似てきた。欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁は9月、「ビットコインはチューリップのようなものだ」と言及。17世紀にオランダで発生したチューリップ球根バブルを引き合いに出している。 
ビットコインの「適正価格」は、まだ誰にもわからない。今の相場がバブルかどうかは後になってみないと確かめられないだろう。ただ、これほど短期間で急騰した例も歴史的に珍しい。将来性はさておき、個人を含め市場参加者は、急落リスクと日々向き合うことになりそうだ。
(出所)ニューズウィーク日本版、2014年12月14日

価格チャートを見るまでもなく、ビットコインの相場は明白にバブルの観をなしている。暴落は時間の問題である。いまビットコインを買うなど、地雷原の中に足を踏み入れるのと同じだ。

にもかかわらず、日本のミセスワタナベ(=外国為替で稼ごうとする日本の個人投資家層) はまだ買いこんでいるのか? 売り逃げをしないといかん状況であるのに。

やはり『このケースは違う』という心理がバブル形成要因として作用しているのだろう。

暴落で評価が5分の1になっても、カネが有り余っている大富裕層なら放っておくだろう。そもそも大暴落を演じている事にすら気が付かないかもしれない。それならば何も問題はない。ビットコインという投資対象(投機対象?)は、(今後どの程度評価されるかは不透明だが)新種の経済的機能を世界で果たす可能性がある。なので、暴落しても遠い将来にはまた戻る。心配ご無用! 小生もそう予測(?)しているのだ。

本来、投資とはそんなものではないだろうか。相場を追っても予測などできないのが相場であり、投資とは中身にカネをかけることを言うはずだ。追ってはならない相場を追うのは単なる投機だ。つまりギャンブルである。だから、100パーセント余ったカネでビットコインを買っているはずだ。それならば、そういうわけだから何も問題はない。

しかし、毎日何度も相場を見ずにはおられない普通の人は、資産が5分の1に減ってしまうという暴落自体が我慢できないのではないだろうか。それで、(自称)「損切り」をするつもりで売ってしまったりする。その後、確定申告で損失を所得に算入できないか、何とかならないかと、またまた時間をかけて調べたりする。そのことで頭が一杯になる。

が、失ったものは戻らないのだ。カネをなくすとはそういうものだ。

どうせ余ったカネなのだから、放って置けばよいのに、何かあれば何とかしようと一生懸命になる。手間暇かけるのが大事だと思う日本人のそこがウィークポイントである。

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