さて、
視線の長い中国もそうだが、概して西欧、ロシア、アメリカなど外国は物事を考えるときの時間軸が相当に長い。
[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)首脳は15日、英国のEU離脱(ブレグジット)を巡る交渉について、移行期間や将来の通商関係を協議する「第2段階」に入ることを正式に承認した。
(中略)
伝統的に英国と親密な関係を続けてきたオランダのルッテ首相は「英国の金融部門はEU離脱によってかなり不利な立場に置かれる」と指摘。離脱によって失われる利益をメイ首相は有権者に説明する責任があると述べた。(出所)ロイター、 2017年12月17日配信
ロンドンの金融中枢機能が衰退すればポンド相場は超長期的に下落トレンドをたどるだろう。それは英国内製造業にとっては追い風となり、英金融業にとってはマイナス、大陸欧州の金融機関にとっては福音となる。つまり大陸欧州の製造業にはプラスとはならない。
19世紀から以降、英国は最初は製造業で産業革命をとげ、その後は世界の金融センターとして国富を形成した。
21世紀も中盤の入り口にさしかかり、英国は「昨年の災いを転じて将来の福となす」戦術をとっている、つまり英国は永年の国家戦略を徐々に主体的に改めつつあるのかもしれない。
人工知能(AI)、仮想通貨の登場がきっかけになり、今後将来、最も経営リスクを負っているのは典型的には金融業だろう。日本国内の銀行が「失われた20年」から脱出したのもつかの間、再び「構造不況業種」であると形容されるようになっている。
ヒトの生活の実質的部分はモノ作り産業が決める。というより、知能が決める。もはやカネではない。雇用吸収力も、最悪の場合すべてが人工知能(AI)に任されてしまうかもしれない金融業に比べれば、まだモノ作り産業に未来があるだろう。知能が情報をメカニズムとして管理する時代がくれば、その拠点が世界の産業センターになるだろう。
永年のドル箱であった金融業を熨斗をつけて大陸に下げ渡し、その代わりにモノ作り産業の復活に向けての追い風を掠め取るという意図を隠しているのだとすれば、その昔、ゲーテが英国を評した言葉通りのことをまたイギリスは国家ぐるみでやっていることになる。
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