[東京 14日 ロイター] 日銀が14日の金融政策決定会合で決めた資産買い入れ枠増額と物価政策の表現変更について、金融市場からは、2つの政策をセットにしたサプライズとして評価する声がある一方、物価をめぐる表現変更は単なる「言葉遊び」に過ぎず、デフレ脱却に向けた実行への不信感も根強い。
市場心理を制御する米連邦準備理事会(FRB)流の情報発信力に比べて見劣りするとの見方もある。金融マーケットにとって今回の決定が単なるサプライズで終わるのか、あるいはその効果が持続して円高是正などにつなげていけるのか、日銀の実行力とコミュニケーション力が問われている。日本銀行はデフレ脱却に本心で取り組んで来た訳ではない。そこを見透かされているようだ。実は、その点は政府も同じである。物価全般は過去においては経済企画庁物価局が担当して来たが、90年代半ばから日本の物価下落基調が鮮明になったとき、それをデフレであるとは政府は認識していなかったことは事実である。デフレではなく<内外価格差の解消>プロセスであると見ていた。高い日本の国内物価が適正な価格に調整されているのではなく、これは正にデフレーションであると政府が公式に認めて、はじめて実施されたのが<量的緩和政策>である。この辺の事情は岩田一政「デフレとの闘い」に詳しい。
今回、日本銀行がデフレ解消と「インフレ・ターゲット』、というよりインフレ・ゴールにコミットしたわけなのであるが、最も大事なのは政策当局の真の意図である。アメリカ、欧州はインフレであり、日本はデフレである。デフレの解決を本気で実行するなら、必ず円安になるはずである。円安にするんですか?できるんですか?
英紙ファイナンシャル・タイムズのブログ"Money Supply"から、少し長いが、一部引用させてもらおう。タイトルは"Japan's Odd Inflation Target" である。
Central banks are nothing if not dedicated followers of fashion. Less than a month after the Federal Reserve opted for an explicit inflation target, the Bank of Japan has followed suit.
However, the BoJ’s adoption of an inflation target probably owes more to political pressure than the whims of its central bankers; unlike Ben Bernanke, BoJ governor Masaaki Shirakawa has never been a proponent of the framework.
And this perhaps explains why the BoJ has been more original than most on how it plans to target inflation.
When adopting inflation targets, most advanced economy central banks — including the Fed, the Bank of England, and the ECB — have plumped for a figure of about 2 per cent. The aim is to hit this target in “the medium term”, which is usually interpreted as a period of about two years.
Like its peers, the BoJ has also adopted a “price stability goal in the medium to long term” of 2 per cent or lower.
However, its policy board will also review the inflation target each year and, for the time being, has opted for a target of 1 per cent.
(Source: Financial Times, February 14, 2012 5:26 pm, by Claire Jones)一口に言うと、目標数値としては一応2%をあげてはおくけど、毎年のリビューはこれまで通り行うことにするし、その際の目安は当分の間(for the time being)1%とする。
日本銀行の真の意図は分かりますか?小生には分かりません。日本国外の人にも分からないであろう。意図が分からない新しい政策を実行に移せば、よく転んで何の効果もない。悪い場合には、予想外の効果が現れるはずである。日銀の保守性が市場に見透かされ、円投機を仕掛けられる可能性もなしとしない。その後の暴力的な円安もありうる。本当に日銀は物価問題と取り組む決断をしたのだろうか?常に言えることは、<敵正面>に顔を向けて対峙しなければならない、ということだ。
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