2012年2月16日木曜日

欧州GDP報道 ― このヘッドラインはないでしょうが

本日の日経が欧州GDPの公表値を報じている。ヘッドラインは以下。
ユーロ圏マイナス成長、10~12月GDP0.3%減  独も失速 
本文の一部を引用すると以下のように説明している。 

今回の欧州債務危機を主因としてユーロ圏がマイナス成長になるのは初めて。EU統計局によると、ユーロ圏の年率換算の実質成長率はマイナス1.3%だった。

ユーロ圏の3割弱の経済規模を持つドイツの実質GDPは前期比0.2%減と、09年1~3月期以来のマイナス成長。独連邦統計庁によると、設備投資は堅調だったものの、輸出から輸入を差し引いた純輸出と個人消費が成長を押し下げたという。

フランスの実質GDPは前期比0.2%増。ただ、フランスを除くとユーロ圏の中核国のほとんどはマイナス成長。イタリアは0.7%減と2四半期連続のマイナス成長で、景気後退局面に入った。スペインは0.3%減だった。(出所:日本経済新聞2月16日朝刊)
 一口にいって、ドイツ経済の見方は連邦統計庁の発表趣旨と違う。
WIESBADEN – The German economy suffered a slight dip at the end of 2011: compared with the previous quarter, the gross domestic product (GDP) decreased by 0.2% in the fourth quarter of 2011 after adjustment for price, seasonal and calendar variations. As further reported by the Federal Statistical Office (Destatis), the German economy grew by 3.0% (in calendar-adjusted terms: 3.1%) over the entire year of 2011. This is in line with the first calculation of January this year. 
When compared with a year earlier, the gross domestic product also rose in the fourth quarter of 2011: the price-adjusted GDP was 1.5% higher than in the fourth quarter of 2010. Consequently, despite the slowdown in GDP growth at the end of 2011, the gross domestic product was clearly above the previous year’s level in all quarters of 2011 also in the second year after the economic crisis.  
マイナス成長は昨年の10月から12月までの数字を7月から9月までの実績と比較した増減率を季節変動を除いて出した結果である。経済の基調を判断するのが、データ作成の主目的だ。昨年1年間を通して見ると3%成長を実現し、すべての四半期で前年を上回る生産活動を行った。この点に発表側のポイントが置かれていることは明瞭だ。実際、設備投資は、唯一のプラス項目とはいえ、増えている。特に建設投資が拡大している点が大事だ。<季節調整済み前期比>というのは、割り切って言えば、<フィクション>ですぞ。この数字が<失速>に見えるのですかねえ?


もちろん欧州全体としてみると、イタリアなど南欧の引き締めがきつく、ドイツの拡大基調との綱引きが続いている。今後、4月、5月にかけて失速するかもしれない。が、それはまた別の話だ。現時点で、ドイツ失速といえる数字は、どこからも出てないはずだ。日経経済部は先入観をもって数字を見てはいないか?

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