古い順に最近の記事から記録しておくと、まず日本の日経から:
(出所)日本経済新聞、2012年7月26日
6月末のEURO圏首脳声明でひと先ず水をかけたものの、メルケル独首相が帰国してから、自国で散々に非難され、経済学者グループからは反対の署名が提出されたりして、大騒ぎになった段は、本ブログでもとりあげた。欧州協調の内実を充実させるために負担を引き受けてもよいという気はドイツにはない。それがかなり明らかになり、更にイタリアの希望的観測が打ち上げられていたにすぎないという現実も露わになってきて、結局、火種はそのまま残ってしまった。
次に、独紙Frankfurter Allgemeineから:
Source: FAZ,2012,8,5
欧州内部で形成されているインバランスというか「きしみ」は、心理学的な観点からみると、既に欧州分解への道筋をたどり始めている。モンティ伊首相が独誌"Der Spiegel"によるインタビューに応じた時の発言である。
これと並行して、独バイエルン州のゼーダー蔵相は、ギリシアは今年中にも離脱するべきであると独紙"Bild am Sonntag"の取材で述べている。ドイツはギリシアの<支払責任者(Zahlmeister)>ではないというのはドイツのみならず、欧州北側諸国の共通の心情でもあるだろう。ここを乗り越えて財政統合への道筋を確立できるかどうか。信頼できる欧州財政システムを構築できるかどうか。速くやらないと時間切れになりますな。が、どうも肝心のドイツ国内がまとまりそうもない様子だ。
今後、1年から1年半位の間により緊密に統合された欧州財政システムの骨格が浮かび上がるならよいが、<会議は踊る>的な状況がダラダラと続けば、もう駄目であろう。そうなる可能性は、小生、かなり高いと見ている。仮にそうなれば、欧州は投資主体としても、投資先としても、甚だしい地盤沈下を経験するだろう。ま、世界経済の潮流は(足元では)そういう方向に流れているとは言えようが。
そもそも<EU>は、グローバル化時代の中で<統合の利益>を追求する試みだったはずだ。その統合を実現できない場合には、欧州諸国が自ら予想していたとおり、政治経済両面で多くの損失を蒙らざるを得ない。それが最初から分かっていたからこそ<EU>への道を歩んできた。失敗すれば失うものが大きいのは当然だ。単純なロジックである。では、欧州があるべき統合を成し遂げられず、まずはEURO瓦解、そしてEU自体の存在の意義が問われるようになるとして、それからどうなるか?ギリシアだけではなく、スペインでも一部の民間企業は(万が一)EURO離脱になったとしても困らないように手を打ち始めているという。こういう議論は、経済予測と同じく<自己実現的>なものなのかどうか?こんな論点に、小生、いま非常に関心を抱いているところである。
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