カミさんはいま四国・松山にいる。義兄の葬儀が終わって既に2週間になる。奥方はまだ40代である。どこでもそうだが、現役の世帯主が亡くなると、預金は自動的に凍結されるので、当座の資金に困る。カネに関連する名義の書き換えをしないといけないが、相続手続きとも関連するので面倒であるようだ ― 遺言書が公正証書として存在していればまた事情がずいぶん変わるようだが。確かに、いかに妻とはいえ、勝手に名義を書き換えて預金を引き出すことが可能であるなら、もし万が一、隠し子がいて財産相続権を主張してきた場合には、他界後に預金引き出しを許した銀行の責任が問われるであろう。まったく面倒である。そんなこんなで、うちのカミさんは今月中は松山にいて話し相手にならないといけないようだ。自炊も楽な時代になったが、昨日の昼に近くのレストランで食べたときの油が悪かったか、すぐにムカムカして、完全に腹をこわした。こんな時は一人暮らしは本当にさびしいものである。
とはいえ、電話で愚痴も言えるわけである。困ったときは<相身互い>である。
× × ×
ロイターで報道しているのだが、
[ブリュッセル/ロンドン 1日 ロイター] 英議会は31日、欧州連合(EU)に予算の削減を求める動議を可決し、キャメロン英首相にとっては、1兆ユーロ(1兆3000億ドル)規模のEUの長期支出計画に対して強硬な姿勢で臨むことを求める圧力が高まった。また以下のような続報もある。
一方、フランスは農業補助金の削減提案に反対し、拒否権発動も辞さない姿勢を示しており、EU予算をめぐる対立が強まっている。
英議会の議決に強制力はないものの、与党保守党の反対派グループが野党労働党の一部と組み、動議を可決した。
キャメロン首相に反対する保守党議員は、キャメロン首相に対してEU予算の凍結を支持する姿勢を取り下げ、予算削減を求めるよう促している。
一方、最も多額の農業補助金を受け取っているフランスは、2014─2020年のEU予算を500億ユーロ以上削減するため、議長国のキプロスが妥協案として提示した農業補助金の削減に反発している。
EU議長国であるキプロスは29日、予算の規模を縮小するため、農業分野への助成の削減幅を比較的小さく抑えながら、経済的に豊かでない国へのインフラ投資に充てる予算を最も減らすことを盛り込んだ妥協案を提示した。
農業予算は提案通り削減されたとしても依然として最大の支出項目だが、フランスのルナール・カズヌーブ欧州問題担当相は「われわれは削減提案に反対する。フランスは共通農業政策に関する予算を維持しない長期予算を支持できない」と述べた。
[ロンドン 1日 ロイター] オズボーン英財務相は1日、英国は欧州連合(EU)予算の削減を望んでいるとし、予算が英国の納税者にとって望ましいものでなければ、キャメロン首相が拒否権を発動すると述べた。
同相は、BBCラジオ4に対し「われわれはEUの予算の削減を望んでいる。協議は初期段階にあり、どう展開していくか見守る」と語った。
さらに「英国の納税者にとって望ましいものでない限り、受け入れない。納税者にとって良くなければ、拒否権を発動する」と強調した。
英議会は前日、EUに予算の削減を求める動議を可決し、キャメロン首相にとっては、1兆ユーロ規模のEUの長期支出計画に対して強硬な姿勢で臨むことを求める圧力が高まった。
いまの欧州の混乱は、多国間の財政移転制度が完備していない点にあること、既に明瞭ではないだろうか。それと正反対の主張なり、行動がいま繰り広げられている。
英国・連立政権のパートナーであるクレッグ自由民主党党首は次のように述べている。
Nick Clegg said the Government's defeat in the House of Commonson its proposal for a freeze in the EU budget showed that Europe was once more "a party political football".
Responding to calls that the UK should renegotiate the terms of its membership in the EU, the Liberal Democrat leader said the idea that the UK could "opt-out of the bad bits but stay opted-in to the good bits, and that the way to do that is a repatriation of British powers" was a "false promise wrapped in a Union Jack"
Mr Clegg claimed that other members of the EU would not tolerate the UK trying to extract itself "from the bulk of EU obligations".
Source: The Telegraph, Friday 02 November 2012クレッグ党首の意見が妥当だ。
EU議長国は輪番制によりキプロス大統領がつとめている。その大統領がEU予算減額案を提案して、フランスがそれに反発し、英国と同様に拒否権をちらつかせている。
イギリスが得をするためにEUを利用し、フランスが得をするためにEUを利用する、ドイツはドイツでドイツの利益を大事にする・・・という風に自国利益を求める戦略を各国が採るのであれば、欧州全体が囚人のジレンマに陥る。これは、ゲーム論の初歩的なエクササイズだ。
既に通貨は統合されている。だとすれば検討課題は、モラルハザードをおかした国家なり個人に、どの程度のペナルティをどのように課すかであって、<ヨーロッパ>という国家連合の全体利益を現実に実現できるメカニズムを設計しておくことだ。その次に、全体利益の再配分システムをどう設計するかである。富裕国から貧困国への財政移転を多数国が容認できる形で行うことができるか、できないか。求められていることは極めて単純だと小生は思う。カネを出すからクチも出せるのだ。
既にファン・ロンパイ理事会議長はロンドンを訪れ、メルケル独首相も来週にはキャメロン英首相と会談予定ということだ。まあ<EU域内は相身互い>というわけにはいかないようだ。ヨーロッパ統合への道は余りにも遠い。
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