今朝の朝刊のヘッドラインは、日経が『リクルートがネット通販 ― 仮想商店街、楽天など追撃』。う~ん、楽天株を買って大丈夫か??リクルートは傘下のサイトを利用する人が年間延べ1憶人以上。楽天はというと、2憶人。ま、小売の経験などを考えると、2~3年程度は楽天の競争優位が見込めそうだ。まずはリクルートさん、日本国内2位のアマゾンを抜かないとね。
読売は『民主党の離党者』、ハハア、「コレハエエワ」という感じですな。
北海道新聞は『ロシア、対日送電構想 ― サハリン・北海道結ぶ、政府に打診』と。なになに・・・シュワロフ第一副首相が来日、20日(=今日)に開催される日ロ政府間委員会で議論される可能性があるということか。そもそも東日本大震災・福島第一原発事故の直後からプーチンは日本とのエネルギー協力を外交戦略に据えようとしていた。まずは天然ガス・パイプラインをサハリン・北海道間に敷設する事業が浮上したが、エネルギーの元栓をロシアに預けることへの警戒心が日本側で高まり、あえなく頓挫、ロシアのガスプロム社は本年6月に断念を表明した。今度はサハリン・イリインスキーに石炭火力発電施設を新設し、原発2基分の電力を送電しようというものだ。北海道が余剰電力をもてば、北本連繋線経由で内地にも送電できる。おそらくロシア産の電力単価は安く、北電が買電・売電するのであれば、北電の利益は巨額になろう ― そううまくいくはずはないが。
中国は尖閣をめぐって韓国、ロシアを自陣営に誘っている。ロシアは当面は様子見姿勢で、日本に対する今回の提案は<ソフトコミットメント>、あくまでもロシアの国益を追求するための戦略的行動である。ま、即座に蹴っ飛ばすなどという対応は、日本にとっての最適反応戦略でないことは確実だ。電力の対ロシア依存性を高めると北方領土問題での交渉力が低下するわけだが、どちらのプラス、どちらのマイナスを日本は重視するかだねえ。それにしても、全国紙はなぜこの話題をとりあげない。信頼できないアドバルーンと判断したか、道新が頑張って取材したのか、ちょっと現時点では分からない。
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日経の2面。『金融政策、異例の争点』。安倍自民党総裁による<建設国債日銀引き受け論>である。野田首相は財政規律が損なわれると猛烈に批判している。多分、日銀は当然として、国債を引き受けてもらう財務省も反対であることは確実だ。
政府の財源調達が金利の上昇圧力を生み、民間の資金需要を圧迫したり、円高を誘発したりしないように、国債を市中で消化させずに、日銀に直接引き受けさせるという狙いは、それ自体、間違っているとはいえない。しかし、よく考えると、何も新しいことを提案しているわけではない。
まず日銀の資産側に国債がたち、負債側に政府当座預金が同額だけたつ。その政府預金は事業の進捗に応じて払いだされ、日銀の負債側では政府当座預金が日銀券もしくは民間銀行の日銀当座預金に振り替わる。この面をみれば確かに金融緩和だが、ロジックとしては日銀による量的緩和政策と同じである。違うのは、実体面において工事が進行し、人が雇用されていることであり、それ故に安倍総裁の提案は金融政策ではなく、財政政策である。ま、いずれにせよ、日銀に直接引き受けさせる以上は、財政法や日銀法の改正が必要になろう。
そもそも日銀は、たとえ政府の建設国債を引き受けたとしても、自行の判断によって<適切な売りオペ>を実施し、政府が散布するマネーを市中から吸収するだろう。結局、市場が建設国債を買ったことになる。だから心配されているような<ハイパーインフレ>は起こりえない。起こり得るとすれば、政府が日銀の金融調節を全面的に束縛して、「いまは売りオペをやるな、金融市場は政府が管理する」というところまで踏み込むかだが、それをするなら日銀法の中の
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。この第2条に明記している日銀の目的<物価の安定>を削除するか、複数の目的を挙げておくべきだろう。複数の目的を挙げるとウェイト付で複雑になるし、削除しなければ、必ず日銀は金融市場を調節するであろう。どちらにしても、量的緩和がインフレ要因にはならなかったのは事実だ。本質的には同じ政策である「国債の日銀引き受け」がデフレ解決の特効薬になるとは予想できないのだ、な ― 単なる量的緩和政策と違って、生産要素が稼働しているので、無際限に実行可能というわけにはいかないが、日銀の調節でインフレの前に金利が急騰して、民間が悲鳴をあげるであろう。ハイパーインフレが起こりうるのは、政府が日銀法も財政法も改正し、日銀が政府のコントロール下に置かれるようになる時だけである。しかし、そんな極端な行動をとれば日本は<G20>にはいられなくなるのじゃあないか?ま、非現実的であり、安倍総裁は空言をもてあそんでいると批判されても仕方がないところがある。
政策技術的なことは官僚・日銀マンに任せ、安倍総裁は野田首相の仕掛けに敢えて乗って、TPP参加に賛同するのか、反対するのか、はっきりした姿勢を堂々と示すべきだろう。TPP参加の可否のほうが、はるかに日本の将来を本質的に決定する事柄である。TPPを争点にされると自民党は座り心地が悪かろうが、民主党は賛成を公認の条件にするとまで言っている。自民党も態度表明から逃げるべきではない。
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