現勤務先に転任して今年の4月で20年が過ぎたというので、今日、その表彰状をもらった。その後は市内の結構旨い店から仕出し弁当をとってくれていて中々の満足ではあった ー 世が世なら財政黒字で、もっと一流の店で懇親会をやってくれたかもしれないなあと、そんなことも思いながら、箸を動かしたのではあるが。
10月に義兄の葬儀に着ていった白いワイシャツを着用したことに帰宅してから気がついた。ああ、そうだったのか、気がつかなかったなあ、それにしても葬儀で着た服を慶事で着るなんて、取り合わせが悪かったかなあ、と。しかし、あれだな、濃い紫の悲しみの上に、薄い水色のような喜びを重ね、今度きるときには紅殻色のような仕事をして、それから首都圏に出張したついでに美術館巡りをして心の色はレモンのように染まる。この白ワイシャツを何度か着るうちに、思い出すことも悲喜こもごもで、地層のように重なり、人生は黒に近いグレーであることを知るのだろう。
話しは変わるが、北海道は民主党の王国であると言われてきた。しかし今は完全な逆風で地元幹部は「国防軍批判の一点突破でいくしかない」と。逆に、自民党候補は安倍総裁の国防軍という言葉に<当惑>し、応援演説にきてもその言葉は使わないでくれと頼むよし。
情けないねえ・・・。自衛隊は、実質、国防軍ではござらぬか。とはいえ、「軍」という漢字は日常会話ではまず登場しない文字である。ぎらついている。ザラザラする、そんな感覚は否めない。米陸軍であればU.S. Army、英海軍ならRoyal Navyだ。空軍ならAir Force。軍事力は英語ではForcesであり、この単語は日常でもよく使う。力学で定義する「力」もForceである。地球を太陽に縛り付けているのは万有引力という力である。力=Forceの類義語であるPowerは、電力、政治力など、どちらかといえば高次の力。それに対してForceは素朴な腕力に近い。"He forced in"といえば、乱暴に押し入ってくるというニュアンスだ。自衛隊の役割もForce=軍事力であることを否定してはウソをつくことになるだろう。ドイツ国防軍はWehrmacht. これもWehr(ダム・せき) + Macht(力)の複合語。現・連邦軍はBundeswehr。堤防として使う力、そんなニュアンスだな。
しかし、「力」という漢字は名称には使えまい。当たり前すぎて気が抜ける。そこが日本語なのだな。戦国末期に武田家家臣・高坂弾正が『甲陽軍鑑』を著した。軍学を兵学ともいうが、明治になって国軍を創設するとき、その組織に「軍」という字を充てたのは、あてた人からすると、かなり自信があったのではないかと推察している。中国の史書でも国が統括する武力組織全体を「軍」と表現しているようだ。たとえば元寇で日本に押し寄せたのは「元軍」であると記述されているよし。隊は軍を構成する単位である。それ故、組織全体に自衛隊という具合に「隊」という文字を当てると、組織構成を厳密に表現できないのじゃないかと、素人ながら心配になる。更に、理屈だけから言えば、いま「自衛隊」があるということは、将来いつか「軍」が再建されるとき、別に「遠征隊」が編成されることもありうる、そんな可能性がこめられているのではないかと。小生個人としては、やはり「国防軍」とするほうが、限定的かつ明瞭な命名であると思う。
米軍を統率するのは、Department of Defense、ズバリ、国防省である。しょっちゅう自国の安全保障のために世界中で戦争をしている米軍も建前上は国防省が運用する軍隊、つまり<国防軍>である。日本の防衛省は既に"Ministry of Defense". アメリカと違いはない。英語で同じなら、日本語でも同じにするのが、誠実というものだ。
TPPに入るついでに、日本の防衛省を国防省という呼称に変えて、それと合わせる形で実動部隊も国防軍にしてはどうか。
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