NYのダウ平均が中々14000ドルを超えられないと、一抹の懸念をこのブログで投稿したら、その直後に壁をこえ、とうとうリーマン危機直前の高値まで超えてしまい、既往最高値の域に入ってきた。直接の契機はアメリカの景気回復が雇用面からも確認できるようになったこと。
Improved labor market data from the private sector sparked the positive tone and boosted confidence for the U.S. government's payroll report on Friday. The data from payrolls processor ADP followed similarly strong reads on housing and the services sector, reports that have contributed to lifting the Dow to historic levels and pushing up the S&P 500 to just 1.5 percent below its own record close.
Source: Reuter, Wed Mar 6, 2013 4:45pm EST
同じ報道は日本でもされていて、日米プラスの共振運動をかもしだしている。
しんきんアセットマネジメント投信運用部の藤本洋主任ファンドマネジャーは、「アベノミクスによるデフレ脱却のイメージだけで、実体経済の改善を先取りして株価は上げてきている」と指摘。政治の要請に応え、業績回復の顕在化を待たずに企業が賃上げに動き始める危うさもあるが、「期待が剥落する雰囲気もないため、目先強い相場が続きそう」とみている。
6日の米国では、給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが発表した調査で、2月の米民間部門の雇用者は前月比で19万8000人増えた。エコノミストの予想中央値は17万人の増加。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、住宅や自動車の需要が高まる中、経済はほぼ全国的に緩やかないし、まずまずのペースで拡大した。
米景気が着実に上向いているとの見方を背景に同日の米国株は、ダウ工業株30種平均 が0.3%高の14296.24ドルと前日記録した過去最高値を再び更新した。
出所: ロイター、2013/03/07 15:55 JST日本はいまだ実体のない株価上昇ともいえるが、住宅市場の底打ちに加えて、雇用面の顕著な回復までも見られるようになったとすれば、アメリカの株価上昇には実体面の根拠がある。アメリカに期待が持てるので、アベノミクスに吹く追い風が弱まるとも思われない。ドイツは先に投稿したように回復の加速が確認されている。多分に期待先行ではあるが、期待は持たないよりも、持つ方が実態がよくなるのも事実である。
どうも自己実現的な期待形成プロセスと言えそうだ。足元の実態が同じであるにもかかわらず、経済時系列の生成プロセスが別のメカニズムに移行する、これがレジーム・スイッチングであるし、あるいはまたわずかなきっかけが経済変動のメカニズムを別のものにするスレッショールド自己回帰(Threshold Autoregression)モデルが当てはまっているかもしれないが、どちらにしても足元ではそのデータ生成プロセスの移行が進みつつあるのかもしれない。
もしそうであれば、いま経済分析のプロであるエコノミスト達が語っている見通しは線形思考にすぎず、それに対して現実は非線形に変化する。非常にありふれた例ではあるが、専門家集団の理論的思考が現実をフォローできない、予想がはずれてから外れた原因を考え始める、そんな失敗がまた繰り返されることも<想定範囲>に加えておくほうがいいかもしれない。
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