やはり歳である。
歳と言えば、そろそろ『今昔物語』というわけではないが、今と昔を比べてみても許されるのかもしれない。
いつの間にか変わってしまったなあ、と思うのはドラマ主題歌とCMソングの立場逆転である。20年程前は、CMでも名作というのがあって、そこでは一度聞いたら忘れられないような名曲が流れていた。特に日本航空とか、化粧品メーカーとか、製菓会社などのCMからはヒット曲が生まれていたように覚えている。
それがいつしか、CMソングというよりドラマの主題歌にとって変わられるようになった。主題歌といっても冒頭に流れるのではない、最後のそれもドラマとはあまり関係なく一度だけ流される、まあその意味では聞いてほしいタイミング探しの結果として、CM枠ではなくドラマ終了直後の映像が選ばれているのかもしれない。そんな「主題歌」である。
DVD/BDレコーダーの普及率は、保有世帯を重複カウントしているとも思われるが、下の図をみると、既に80%近いということがわかる。
(出所)http://www.garbagenews.net/archives/1927136.html
小生もそうしているが、気にいったドラマは録画をして複数回観る人が多いと思う。リアルタイムでの視聴にはこだわらないかもしれない。ドラマなど、むしろリアルタイムではなく、10分遅れの「追っかけ再生」でみたほうがCMをスキップできて、流れがよくなるくらいだ。CMはスキップするが、予告編はみたいし、最後のエンディングはもちろん観る。そこで流れる音楽は必ず聴くわけだ、な。そもそも、テレビのCMをみて、購入する商品を決めるなど、昭和時代の行動パターンであって、いまはAmazonや楽天の口コミが一番参考になる。
ただそうなると、民間放送というビジネスモデルは根底から崩れてしまう。録画でみようと思っていても、あるいは「追っかけ再生」でみていても、そんな形の視聴は視聴率調査ではすくいとれない。というより視聴には計上するべきではない。視聴率とは、あくまでも、費用を負担しているスポンサーのCMを潜在顧客がどれだけ観ているかを伝えるための指標なのだから。いくら人気のあるドラマを流しても、録画でそれをみるようじゃあ、スポンサーが制作コストを負担する動機はないわけだな。
放送局は、リアルタイム視聴率をあげるのが経営課題である。そのために努力するが、視聴者の方はできれば高機能録画機でCMをカットしてコンテンツに集中したいと思う。結局、高視聴率を得るには<はやく知りたい・いま観たい>番組を放送する傾向が出てくる。それはニュース性をもったコンテンツだ。
しかし、ニュース性をもったコンテンツをTV局が放送するとき、視聴者がTV受像機の前にいる保証はない。速報性をもとめる視聴者は、視聴の場所を問わないスマートフォン、タブレットにシフトする。YouTubeでハイライトをみればそれでいい。そんな動きを将来とも止められないだろう。だから、いわゆる報道重視路線を成功させるには、よほど工夫しないといけない。
マスメディアとしての価値を測る上で、TVがタブレット+インターネットに敗退するのはほぼ確実だ ー であるとしても、もちろん、再生機としての大画面・薄型TVが不必要になるという意味ではない。10年後、民間TV局が一体どんな番組を放送しているのか、小生には想像すらできなくなってきた。
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