政府の社会保障制度改革国民会議は3日、公的年金の支給開始年齢の引き上げを検討することで大筋で一致した。8月末にまとめる提言に盛り込み、政府に議論を加速するよう求める。会長の清家篤慶応義塾長は記者会見で「67~68歳に引き上げてしかるべきだ」と述べた。今でも60歳定年退職から65歳の年金支給開始までが無年金にならないよう継続雇用を民間企業に義務づけている。「高年齢者雇用安定法」がそれだ。年金支給開始年齢を68歳に引き上げれば、継続雇用を68歳まで続けることを義務づけるのは確実である。一体、お上は会社に対して何歳までの従業員雇用を義務づけることができるのか?
(中略)
支給開始年齢の引き上げは定年延長などの雇用政策と合わせて実施する必要があり、時間がかかる。国民会議の3日の「これまでの議論の整理案」では「早めに議論に着手すべきだ」とした。
(出所)日本経済新聞、2013/6/3 20:17
年金だろうと給与だろうと、家計にとって名目はどちらでもいいわけだ。カネを渡すのが会社か、国かという問題だ。年金財政が苦しいので、会社が継続して給与で払ってほしい。要するに、理屈はそういうことになる。増税するなり、年金の一割減額をすれば、民間企業が老後の補償を代行する必要はないわけだから。
小生の勤務先は国が経営している。63歳で定年を迎え、65歳まで再雇用(=継続雇用)される。68歳に年金支給開始となれば再雇用期間もそれまで継続されるのか?そうはならないと思う。というのは、再雇用期間中の給与が年金額を上回っているからだ。カネを払うのは、給与でも年金でもどちらも国である。小生の場合は、「早くやめて年金生活に移ってください、そのほうが国としては楽なんで」。そういうことになるのだろうねえ。いやあ、単純に再雇用期間中の給与が年金と同額になるだけであろう。となると、これって、どこがどう違うのさ?そんな印象もある。ま、小生が仕事をず〜っと続ければ、若い人の仕事が一人分なくなる勘定だ。だから、どうせ同じ金額を小生がもらうのなら、正解は継続雇用じゃなくて年金生活に入る方がマクロ経済的にはよろしい、ということだろう、小生のケースでは。
公的年金制度は、既に破綻している。
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高齢者継続雇用で定年制度が死に体になれば、正規労働者の保護制度もなし崩しに崩れる力が働くだろう。
7月の参院選を前に正規労働者に対する保護を少なくする話は停止している。安倍氏の支持率は70%に近く、選挙では自由民主党が勝利を収めそうだ。安倍氏の支持者は選挙後に労働関連法の改定など難しい改革に取り組むだろうとみている。声高に唱えられている成長戦略第3弾には株式市場が失望した。とはいえ、それは岡山方言でいうショサ(=パフォーマンス)であり、本当に安倍内閣がやりたいことは何も語ってはいないのか。
(出所)日本経済新聞6月6日、英フィナンシャル・タイムズ特約(5日付)
しかしだねえ・・・高齢者は継続雇用を義務づける。正規労働者の解雇規制を緩和する。そりゃ、若年層の解雇に限定するということか?高齢者もか?高齢者の解雇規制を緩和するなら、今の高齢者雇用安定法は死文化する。
一体、どないなっとんのじゃ?
日本の雇用システム、社会保障制度、暮らしのあり方の全体が、ヴィジョンなき、なし崩しの変態をとげつつある。小生は、社会は作るものではなく、成るものだと考えているのだが、まさか中央政府の制度までがねえ・・・政府が作るというより、「仕方がない」という流れでそう成っていくとは、ここが善く言えば<自然流>、悪く言えば<無責任>の典型的な現れであろう。
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