2014年1月31日金曜日

覚え書―コンドラチェフ超長期循環はなぜ生まれる

数日前になるがウォール・ストリート・ジャーナル紙に以下の記事が掲載された。Apple ComputerのPC”マッキントッシュ”が発売されて、ちょうど30年がたったという記事である。

出だしだけ引用しておきたい。
米アップルの初代パーソナル・コンピューター「マッキントッシュ(マック)」が24日、発売から30周年を迎えた。アップルはこれを記念して1984年から現在までのマックの進化の過程をたどる特設ページを開設した。 
マックがこの30年間に音楽、設計、コンピューティングなどに及ぼした影響を疑う人はいないだろう。アップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏は1985年当時、「ほとんどの人々にとって、電話と同じくらい素晴らしい発明のまさに始まりの段階だ」と誇らしげに語っていた。
(出所)WSJ, 2014-1-25

小生は初代Macintoshこそ使わなかったものの、Macintosh Plus、SE/30、そしてQuadraといわゆる”マック”の技術進歩にはずっと付き合ってきた。大阪から親元の組織に戻らず現在の勤務先に転じるときに書いた履歴書や業績一覧表などもSE/30のSweet JamとMicrosoft Wordの組み合わせで編集し、今は懐かしいHPのDesk Writerでプリントしたものである。

そうか…「あれから40年、いや30年か」。そろそろ結婚30年を迎えるから、同じ年にMacは世に出たことにもなるか。という風に今更ながら感慨無量な気持ちになっている。


30年で思い出したことがある。それは小生のいまの同僚の持論なのだが、起業してから最初の壁が30年後にやってくる。というより、一つのテクノロジーとそれを実現する企業の生命はひとまず30年で終わる、30年を超えて企業を維持発展させたいなら、新たなニュービジネス、社内イノベーションに取り組むことが不可欠である。

戦後の復興を支えた造船日本は1950年から1980年まででまずは栄枯盛衰の1サイクルを終え、1960年から進んだモータリーゼーションもバブルが崩壊した1990年には一つの時代が終わった、その後はハイブリッド技術の開発、電気自動車の研究へと方向が変わり、またライバルもアメリカから次第にドイツ、韓国、インド、中国という面々に変わってきた。

同僚は<仮説>と言っているのだが、『企業30年節目説』は小生にとっても説得的なのだ、な。

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30年節目説はいわばテクノロジーの交替サイクルである。それに対して、先日の投稿で話した『近現代日本の20年周期説』は日本人の世代交替と裏腹だと思っている。世代交替でなくとも建設循環(=クズネッツ・サイクル)がやはり20年程度の周期をもつので、「住み替えサイクル」と呼んでもいいのかもしれない。いずれにしても20年程度の長期循環が国を問わず広く観察されるのはマクロ経済の面白いテーマである。

もし同僚のいう『テクノロジー30年交替説』と『住み替えサイクル20年周期説』の双方が現実に当てはまっているのだとすると、最小公倍数である60年ごとに大きな山と谷がやってくる理屈だ。コンドラチェフの超長期循環は、複数の基本波が複合されて形成される景気循環だと考える方が自然かもしれない。

実は、20年周期説だが、先日の授業で「3年程度の短期循環」と「7年程度の中期循環」は、それぞれ在庫調整と設備投資循環からもたらされるが、もしそうだとすると最小公倍数である21年周期の長期循環が自然に形成されることになる。長期循環の形成が、結果として建設投資に波及しているという見方がより正しいのかもしれない。そんな話もしたのだな。

統計専門家は、建設循環を「見出した」クズネッツがその時に行った移動平均計算の反復の仕方が、20年程度の循環成分を生み出してしまうような方法だった、つまりクズネッツは自分が計算して作ってしまった結果を見ていたに過ぎない。そんな批判をするのだが、それもまた一つの説明方法でしかない。どちらにしても元データに20年周期の波動が含まれているかどうかを統計的に検証するには、目安としてその5倍にあたる100年分のデータがなければ十分とはいえない。

予測でフォローするべき基本的な循環成分は短波と中波、この二つの基本成分だけかもしれず、あとはその組み合わせで説明できるのかもしれない。

いやいや、「テクノロジー30年交替節」がある。この説明がいりそうだ。

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今年の北海道は昨冬よりはまだマシであろうと思っていたが、どうしてどうして、雪の量は今冬のほうが多いというのが大方の声である。

昨年はラニーニャ現象で酷暑になるだろうとは早い時期から予測されていた。そして酷暑のあとの冬は荒れるものである。2013年の前は2007年にもラニーニャ現象があったという。逆の現象であるエルニーニョ現象と同じく、もっと短い間隔で発生することもあるそうだが、発生メカニズムはよく分からないそうだ。それと、太陽黒点数は9年から12年程度の間隔をおいて増減しているそうで、平均的には10年サイクルだと記憶してきた。もちろん何故そうなるのかは分からない。もし周期6年の波動と、10年の波動が無視できないパワーをもっていれば、30年周期の波動が形成されるロジックになる。

だからテクノロジーの周期的交替は、太陽黒点とラニーニャ・エルニーニョ現象からもたらされるのだと言えば、これは余りにも荒唐無稽だろう。とはいえ、経済の季節変動が春夏秋冬という四季の変化からもたらされているのは明らかだ。人間社会の超長期的循環が何かの自然現象からもたらされているのだとしても、小生はなにも吃驚はしない。






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