電力契約では地震等天災による停電に関しては北電は賠償を免責されることになっている(はずだ)。にもかかわらず、賠償請求しているのは(道内全体では発電設備が十分であるにもかかわらず)電力の安定供給を果たすことができなかった点を指摘したものであり、すなわち今回のブラックアウトは<人災>であるというロジックである。
コープさっぽろは、北海道内のエネルギー供給の在り方について問題提起をしたいと説明しているよし。
企業たるもの結果責任を負うべし、というのは成程そのとおりである。が、結果責任を負うべき主体は企業だけではない。官公庁も同じ立場にあるはずだ。
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このところ、非常に不思議、というより義憤を感じるのは、今回のブラックアウトの大きな責任が北海道電力にあるという論調が主流になってきていることである。
発電設備を十分に保有しながら、ブラックアウトの大半の責任が電力会社にあるというのは、非常に一方的な議論であって、この辺のことは最近1か月内に何度か覚え書きを投稿している。
高橋道知事がまず北電の責任に言及して以降、段々と電力会社責任論が強まっており、今回のコープさっぽろの賠償請求もその流れにあるようだが、冷静に考えれば、東日本大震災以降の日本の電力政策、エネルギー政策に誤りはなかったのか?この点を再度検討しなおす契機になるとすれば、大きな第1歩だ。
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その昔、1980年代末から90年代末にかけて、バブルの発生とバブル退治、その後のバブル崩壊と金融パニックが進む中、<官僚組織の無謬神話>は完全に崩壊したはずであった。そして2011年の東日本大震災時で露わになった原子力安全管理体制もまた<エリート達の無責任>を露見させるものだった。
<官僚の誤り>は日常茶飯事である。何度も露呈されるたびに、人の再配置と中央官庁の看板の付け替えが繰り返されてきた。
行政は常にシクジルものなのだ。そう考えると経験には合致するのだ。
今回の北海道全域ブラックアウトは戦後日本では最大規模の停電事故である。これだけの電力事故において最近数年間の電力行政に責任がないはずがない。責任は経済産業省にもあるとみるべきであるし、もう6年近くも全国の原発施設の安全審査を担当してきた原子力規制委員会、それを所管する環境省にもある。当然のこと北海道庁にもあると考えなければ理屈に合わない。とすれば、責任はこの5年間余り行政を総覧してきた安倍内閣にもあるわけだ。そう考えておくのが当然ではないか。
にもかかわらず、日常的には行政は間違いなく行われていると日本人はなお信じたいかのようである。理屈に合致しないことが政府内にないかどうか、モニターすることが本来のマスメディアの仕事であるはずだ。権限を得た<官僚システム>は常に自己を正当化するものである。
しかし、マスメディアはこの件に、つまり電力問題に触れることに非常に臆病であるようにみえる。その理由は、東日本大震災勃発時から全国の原発施設を超法規的措置により停止させ、その後の原発審査体制を構築した民主党政権の直接的責任にも話しが及ぶと考えているからだと憶測されるのだ、な。
あのうるさいマスコミが何で言わはらしませんのんやろか?
決まっとるがな・・・言うたら自分の身に返ってくるからヤ。あれを止めろ、これを止めろいうて、せっかく動いとった電気をやなあ、台無しにしたんは民主党もそうやけど、マスコミや。藪蛇になるんが怖いんやろ・・・誰か何か言いだすのを待っとるんやろな。こんな会話が関西地方でもかわされていなければ幸いだ。
上のような架空の会話は空想だ。とはいえ、当たっているかもしれない。もしあたっているなら、マスメディアは党派的であるという非難を通り越して、そもそも<メディア>という呼称にも値しない政治結社であるとすら言いたくなるだろう。
マ、今回のブラックアウトの技術的検証が今月内にもまとまるだろうから、まあまあバランスのとれた方向が出てくるのではないか、と予想している。
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確率的に考えれば、この厳冬期に再びブラックアウトが発生し、多数の凍死者が出る可能性はそれほど高いものではないと予想はするが、仮に現実にそうなった場合、<行政の不作為>による多数の死者発生の責任を問う、今度は本物の行政訴訟が殺到することはまず間違いのないところだ、と。
北海道の電力問題が全国規模の大炎上に拡大するかもしれない。その根っこには、またもや「官僚の無謬性信仰」がある。そこがまた非常に危うい状況になってきたネエ・・・と。そう思っているところだ。
奇しくも今度の冬が過ぎて春がくればやがて夏の参議院選挙がある。
運命はどう出るか?何かの予想と何かの決断をするべきリスクがここにある。
(来年のことを語ると鬼が笑うというが)来年に待ち構えている大きなリスクは「電力と北海道の冬」ばかりではない。が、もう一つの方は長くなるので、また改めて。
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