2020年5月23日土曜日

ほんの一言: こりゃあ、昔の帝国陸軍の感覚だネエ

これも今の新型コロナウイルスと同じく、組織にとっては一つの「ストレステスト」かもしれない。東京高検検事長の「賭けマージャン」。

懲戒ではなくて、訓告処分にとどまったのが「軽すぎる」と。世間全体が騒然となっているのは気持ちとしては分かる。が、処分は「みんな」で決めるのではなく、然るべき人(ないし人達)が決めるものであり、決める人を信じられないならその人に不信任を提出すればよいし、信じられるなら了解するべきである。趣味的には嫌いな表現である「べきである」と、いま書いてしまったが、何かを「べきする」なら、まさに今でしょう。

こんなやり取りがあったようだ:
「唯一、説明してないのは最高検察庁の稲田検事総長でしょ。この人は何にも説明してないんだから。その人が(処分を)決めてる訳ですよ、訓告を。少なくとも組織の長なんだから、黒川さんを監督する責任もある。あるいは処分を決められる立場なわけですよ、実際決めてるわけです。その人が全く表に出てこない。こんな事が許されていいはずがありませんよ」と稲田伸夫検事総長の説明責任を求めた。
出所:Yahoo! ニュース「スポーツ報知」、5月22日16:37配信

 これが政治評論家のT氏の発言。これに対して、元特捜検事のW氏。
訓告について検事総長が決めたかという事には、私のこれまでの知識によると、処分については法務省の人事課などが決めるという事なので、検察というよりも法務省の関係部署の方でまずは決めるという事が、通常ではないかと思います。
天皇の認証官である高検検事長の処分を「人事課」が決めるというのは、「人事課長」が決めるということだが、これは流石にないでしょう。人事課長が「原案」を担当してつくるというなら分かる。しかし、ナンバー3をどう処分するかの時、ナンバー1やナンバー2の意向を「忖度」せずして、一介の課長が原案をつくるということはちょっと考えられない。

***

ただ、帝国陸軍の参謀本部でも作戦立案は、一介の課員が作成し、それに課長がチョコチョコと加筆し、あとはその原案がトップまで一気通貫。小生がずっと昔に勤務していた部所でも、確かに下が創った文案が一番上まで行ってしまう雰囲気があったことはあった。

怖いネエ・・・日本の中央官庁は、いや日本の会社もそうなのかもしれないが、よくいえば「日本的現場主義」、悪く言えば上が下に忖度する「下克上」は、まだまだ立派に生き続けているのかもしれない。

***

というか、想定外の「満州事変」の際、軍律に明白に違反した石原莞爾・関東軍参謀を当時のメディアがやけに誉めそやしたそうだ。それで彼は「ヒーロー」になった。この例からも分かるが、マスコミが世間に忖度し、公的機関の現場はマスコミが気になり、上はそんな下に忖度して、部内の支持を得ようとする。世間はそんな上を部内の信望が厚いと誉める。ま、財貨サービスの「経済循環」ではないが、忖度のリレーが日本では顕著であるように感じる。もしも日本人が得意とする「おもてなし」が、「忖度」と表裏一体の心理活動であるなら、これは案外に根が深い「日本病」なのかもしれない。

小生が勤務していた大学にも外国出身の教員が多いが、周りに忖度はせずズケズケと意見を主張するところはあると思う。もちろん日本人にもそんな人がいるから一概にはいえないが、少なくとも外国では「忖度のリレー」は(ないとは言わないが)少ないのではないかネエ。「おもてなし」もレベルが低下すると、阿諛追従、おべっか、御機嫌取りといった言動に落ちてしまい、「卑屈のアピール」ともなりかねないので、要注意だと思う。

0 件のコメント: