2020年5月24日日曜日

一言メモ: 安倍政権の怪我の功名

新コロナ型ウイルスに関する米誌"Foreign Policy"の論評『日本の奇妙な成功』が結構評判になっているようだ。かと思うと、英紙"Financial Times"など複数の海外メディアが日本の「コロナ事情」を紹介して、「これは政府の成功というより日本国民の成功伝説となる」と、まあそんな見方で説明したりしている。

安倍政権の<怪我の功名>である、これは。

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実際、今春から始まったコロナ禍の中で、政策対応に参加した専門家集団の評価はともかくとして、内閣・中央省庁の対応ぶりはまったく誉められたものではなかった。ズバリ言えば、運・鈍・根とは100パーセント異質の<鈍・遅・苦・少>が当てはまる、あきれ果てるほどの低レベルであったことは、海外諸国と比べるまでもなく、現時点の内閣支持率にそのまま表れていると言うべきだ。

ただ、

中国が武漢市を都市封鎖して、その後の拡大をピシャリと食い止めた成功を目の当たりにして、特にヨーロッパのイタリア、スペインなどの惨状を見るにつけ、「感染症拡大に対応するには、共産党が主導する体制に比較優位がある。自由主義国家はこの点では劣るのだ」と、こんなコンプレックスを西側諸国は感じてきたと憶測するのだ。

新型コロナウイルスを効果的に抑え込むには、やはり中国のような独裁国家、中央集権国家がホントはいいんだな、という認めたくない事実がここにある、そんなガックリ感があったことは否定できないと思う。

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ところが、

日本では、政府は政府らしいことをほとんど何もせず、後追いで対応し、ユルユルの「自粛要請」でお茶を濁しながら、マスク配布や動画アップなど阿呆な失敗ばかりを重ね、それでも国民が自由意志をもって外出自粛を続け、爆発的感染を回避した。

「中国の体制的優位」は自画自賛に過ぎないことが立証されたというわけだ。

これほど共産主義・中国にとって当惑する事実はない。

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その意味では、個人の自由と人権を重視する欧米主要国にとって、「日本の成功」ほど有難いデータはあるまい。「政府に強大な権力を与える必要はない。むしろ無能でも、阿呆でもいいんだ。重要なのは自由な国民による意志決定なのだ」という「市民社会」の政治哲学に自信を持ち続けてもよいということだから、これほど有難い証拠はない。

欧米主要国は安倍政権がもたらした「実績」、というか「奇妙な成功」を感謝の気持ちで視ているに違いない。

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