2020年6月16日火曜日

新型コロナ:抗体保有率0.1パーセントは信じられるか、という話し

「言葉過剰」の時代にあっては、時に「言葉狩り」が面白いと感じるのは小生も同じだ。よくない趣味ではあるが。

ネットにこんな言葉があった:

中国政府の発表が信用できないのは周知のことだが、わが日本政府の発表は信じてもいいのか?国の調査だけでなく、第三者機関の追試調査が必要な気がする。

公表されたばかりの厚労省による抗体検査結果についてだ。

確かに、東京都の抗体保有率が0.1パーセントであるのは衝撃的な数字である。調査対象となったあと二つの地域、大阪では0.17、宮城では0.03パーセントとなった。

確認感染者数は、東京都の約$10^{7}$人に対して確認感染者数は約$5 \times 10^{3}$人であるから、確認感染率は$5 \times 10^{-4}$、つまり0.05パーセント。今回の抗体保有率は確認感染率の概ね2倍である。

確認感染者数の10倍ないし20倍程度の感染者がいるという点は国を問わず示唆されてきた。なので、数字はそれほど意外なものではない。というより、低い。逆に言えば、東京都は新型コロナウイルス感染者を結構確実に捕捉してきた。そう言ってもいいわけだ。

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要するに、日本人は新型コロナに感染しなかったのだ。だから死亡者数も少ない。そういうことであった。 これは驚きだなあ・・・と思うのは小生だけではないだろう。

日本人は、新型コロナウイルスに感染しても、既に「(どういうわけだか)集団免疫状態にあるので大丈夫だ」等々、色々な仮説があるが、どうやらそんな見方も的が外れているようだ。

で、「この結果は信じられるのか?」と言いたくなる気持ちは小生も共有できる。

ただ、

最近は「第三者機関」がウイルスに劣らず流行しているが、では「第三者機関」は何故信じられるのか?その理由がサッパリ分かりませぬ。

「0.1パーセント」という数字が信用できないので「第三者機関」に調査を依頼する。その調査機関は調査能力を示したいという動機をもつ。依頼者の問題意識や動機は知っている。カネを払うのは依頼者だ。とすれば、高めの数字を出したいという動機が第三者機関側にある、と考えておくのが自然だろう。そんな「第三者機関」が信じられるのか?

この事情は、日本国内であっても海外であっても同じだ。

故に、どんな第三者機関も真の意味で「第三者」にはなりえない。なりえるのは、誰に気兼ねもせず、誰からもカネをもらうことなく、状態を正確に知りたいという動機を有している人たちである。

とすれば、「ビジネス調査」とは無縁の大学か、医療機関などが考えられるが、やはり利害とは無縁の純粋の第三者であるとはいえまい。実は、どんな数字が出ても「だから何ですか?」と言える「厚労省」は、状態を正確に知りたいという動機をもち、知るべき立場にあり、知りうる資源をも持っている機関である。

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ただ、現時点に限っては、確かに厚労省には数字を低くしたいという動機があるかもしれない。

仮に、東京都内の抗体保有率が10パーセントもあれば、今年初から春までPCR検査を抑制的に実施している裏側で、新型コロナが蔓延していた実態を示す結果となり、これは都合が甚だ悪かったろう。高い数字が出ていれば、厚労省(と内閣)の責任が追及されてもおかしくはない。

だから、数字に対する疑いは確かに小生も共有できる。

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しかし、今後のことを考えると、もう「人の噂も75日」である。正確な情報を欲しいという本来の動機が働く理屈だ。

ま、政府の政策実施能力はグダグダ状態であったが、過去をほじくり返して得られるものはあまりないのも事実だ。

ここでもポジティブ思考でいけ、ということでござんしょう。




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