2020年6月17日水曜日

株価の急回復だけではなかった

今年2月、3月に世界の株価が急落した後、5月から6月にかけての顕著な現象は急速な株価回復である。

これについては、『ゼロ金利や量的緩和の徹底でジャブジャブになったマネーが株式市場に流れ込んでいる。カネが事業に回らずマネーゲームに使われている』等々、いまの株価形成は感心できない、と。そんな見方が大方のようだ。

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ただ、国際商品価格をみると以下のようになる。

上から順に石油(WTI)、鉄鉱石、非鉄から銅、アルミをとってみた。グラフ画像の左上に商品名が付されている。






出所:Trading Economics

株価だけではなく、石油、鉄鉱石、非鉄金属などの商品市場においても価格上昇が目立ったのが5月から6月にかけての動きである。

3月の下落から急回復したのは実体経済においても同じだった。ただ、この商品価格上昇もまた過剰流動性から発生した投機的な動きであると観る人も多いと思う。

しかし、もし上のような市況回復がマネーゲームであるなら、農産物市場でも同様の動きがあって然るべきだ。特に、今回のパンデミックによって深刻な農業労働力不足に陥っている食料品分野では秋冬の価格上昇が予想されている。小麦やトウモロコシなどの穀物は現時点でマネーゲームのターゲットになっていてもおかしくない。

ところが、


上の図のように小麦価格は寧ろ一時的な上昇のあと足元では下落基調にある。期間を長めに見てみると、季節性の下落とも思われない。先物価格もほぼ同じ動きだ。

過剰流動性にも限界があり、農産物にはカネが回らないのだ、といった屁理屈はいかにも説得力が乏しい。

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やはり5月から6月にかけては商品の引き合いが増えた。経済活動が増加に転じた。世界市場のそんな動きが背景にあったと観るのが本筋だろう。株価回復もその流れに沿ったものだった。

ただ世界の予想形成は決して「合理的(Rational)」なものではない。特にポスト・パンデミックを予想するための材料はない。実態のあとを追う「指数型予想形成」に従うしかないのが現実だ。

今後、発表される4月、5月・・・の経済データにどう反応するか。過剰反応するか、部分的に、指数的に反応するか、サッパリ分からない。

予想できないだけではなく、予想形成のパターン自体が分からない。



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