2021年6月14日月曜日

一言メモ: パンデミック禍の中での五輪開催と国益

どのTV局も朝から話題にするのは「コロナ感染者数」ばかりで、最近は「ワクチン接種」も主なトピックであったのが、足元では「オリパラ開催」に変わってきていた。それが、今日あたりになると、もう「五輪開催」は既定路線ということになったのだろうか、開くとすれば有観客か無観客か、どちらが「正しい」か、いやはや情報番組(?)のプロデューサーが毎日の編集方針を決めるのに四苦八苦している様子が伝わってくる。それもあってか、各テレビ局ごとにメインにとりあげる話題もばらけて来ており、コロナやワクチンよりは、この夏に予想される集中豪雨被害への対応を早めに話している局もあったりする。

今朝は、朝食をとりながら、「情報番組サーフィン」をしたのだが、カミさんとこんな話をした:

カミさん: (都心への人出増加を観ながら)これじゃあ、オリンピックに観客入れてもいいよネエ・・・

小生: これだけ余裕のある生活をしながら、コロナで大変ですからオリンピックは出来ませんて、欧米は本気には受け取らないだろうな・・・日本は儲けそこなったんで、五輪を開くのが嫌になっちまったんだろうって、こんな受け取り方をされるのが落ちだろう。

カミさん: それはちょっとヒドい言い方じゃない。

小生: 親父がずっと昔に話してたんだけどネ、夏の甲子園で東京や大阪とか、大都市の代表は勝つときは完勝するんだけど、ある程度を超えて大差をつけられると「今日は負けだな」と諦めちゃって、シュンとなるんだよ。で、あっさりと土俵を割るんだって。なんか「都会のチームに大逆転劇はなし」って、そんなことを言ってたよ。まあ、報徳学園の「奇跡の大逆転」もあったりするけど、特に東京代表は淡白っていうか、勝つときは見事に勝つけど、負けるときもキレイに負ける傾向はあるなあ・・・

カミさん: だから何?

小生: もう東京五輪、勝負はついたじゃない(笑)。要するにサ、《あ~あ、もう嫌になっちまったヨ、やめだ、やめだ、こんな五輪、それよりかコロナを何とかしてくれよ》、いま東京都民の心の奥って、こんな感じだと思わない? 東京じゃなくってネ、これが広島五輪か、仙台五輪だったら、ここまで「嫌になっちまった」って雰囲気にはならなかったんじゃないかなあ・・・もう少し、地元で団結して、何とか工夫をして乗り切ろうって、まあ、分からないけどね。

カミさん: そうかなあ・・・東京の人たちの気持ち、わたし分かるけどなあ・・・

小生: 東京がオリンピックを開かせてくれって、頼み込んだんだよ。それも猛烈な誘致運動までやってサ。

カミさん: それはそうだけど、事情が変わったんだから。

小生: 「事情」っていえば、それで済むって話でもないよ。アメリカやヨーロッパは選手団を送るからって言ってるんだからサ。何とか日本には頑張ってもらって、やってくれって、来年には北京であるしさ、東京がひっくり返って、北京は盛大に成功じゃあ、困るっていうのも「事情」といえば「事情」なんだろうよ。

カミさん: でも引き受ける日本人には迷惑だよね。

小生: この世では色々なことが起こるんだよ。いい時ばかりじゃないって事さ。一度開催を引き受けた以上、頑張ってくれって来る方がいうなら、迎える方は出来る限りのことはさせてもらいますって言うのが男だろ。

カミさん: 国に男も女もないんじゃない(笑)。


100年前のスペイン風邪流行の最中にベルギーはアントワープで五輪を開催した。IOCに頼み込まれたようだが、1920年の4月20日から9月12日まで、ほぼ半年間をかけて開いたという説明がWikipediaにはある。100年も過ぎたいまでは「貧相だった五輪」として記憶されているわけではなく、むしろ豪勢だったベルリン五輪の方こそナチスの政治プロパガンダに利用された悪縁が指摘されているのだが、五輪旗が初めて掲揚されたのはアントワープ大会であったし、熊谷選手が男子テニスで日本選手としては初めてメダルを獲得したのもアントワープである。

足元では評判の悪い五輪だが、いざ開催されればIOCは「五輪の意義」について何かを言うのではないか、と。

追い込まれて、嫌がって、総崩れになるよりは、逆境にあっても、というか逆境だから、逆に前向きの新しいトライアルに挑戦する、まあ「心意気」と言っても、いまの日本社会ではバッシングを浴びるのが落ちだろうが、

東京五輪、大変だったが、あれはあれで意義深かったよなあ・・・

と、そんな記憶が残るようなら、日本の国益にも合致するだろう。「いま五輪を開くことがなぜ日本の国益になるんですか」と主張する人が多いが、「国益」を正確に理解するには、人間の器の大きさが重要なファクターになるのも事実だろう。

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